恋の闇







※妄想設定(すぎて着いていけなかったらすみません)







ガシャンと大きな音を立てて頑丈な鉄格子がきしむ。



「無茶すんなよ怪我するぜ?」

「貴様…っ!」



太い鉄ごしに見える姿をぎりぎりと睨みつける。
長年の友、深く体を繋げ、心を曝し合った相手だと思っていた。
そんな男は、静蘭を鉄格子で捕えて、足と手に鎖を付けた。



「こわい顔すんなよ。美人が台無し」

「黙れ!私をここから出せ!」

「出来ねえなあ。出したら静蘭は劉輝のところへ飛んでいっちまうんだろ?」

「当たり前だ!劉輝の国の戦に私が加わらなくてどうする!」




大切な弟の劉輝。
数年前に生き別れ、その間に王座に就かされた哀れな末弟。
名を変えて彼に従う静蘭は、劉輝の収める国と隣国が戦を始めたと同時に燕青に連れ去られた。
まるで味方のような顔をして近づいた燕青に、静蘭は完全に油断していたのだ。
隣国の襲撃は唐突だった。なんの宣戦布告もなしに、国境の村を焼き尽くした。
怒った近隣の村々が勝手に戦を始め、ついには全面戦争へを発展した。
隣国の兵士たちは驚くほどに強かった。




「お前が行ったって変わらねえよ」




燕青の言葉にかっと目の前が赤く染まる。



「変わらなくとも!私は劉輝のそばで戦い続ける!」

「黙れよ」

「貴様のしていることは何の意味もない!ここから、出せ!」

「負け戦に行かせる訳ねえだろ」



獰猛な光をたたえた瞳、まけじと睨み返すと二人の視線がゆるく交差した。
諦めたように燕青の視線が外れ、手元のお椀に戻る。



「飯だ。ちゃんと食べろよ」

「要らない」

「どうせ食わねえつもりなのは分かってる」



ガチャガチャと施錠を外し、鉄格子の中へ入ってくる。
先ほどからこの中を牢屋と呼べないのは、鉄格子さえのぞけばここが居心地のよい部屋だからだ。
ベッドに繋がれたままの静蘭は、侵入してくる燕青をぎろりと睨みつける。



「攻撃なんて仕掛けるなよ。手足を繋がれたお前がどれだけ頑張っても俺には勝てねえ」

「………」

「食わないなんて、許さない」

「んんっ」



矜持を傷つけられるくらいならば餓死した方がましだと、口を引き結んだ静蘭。
燕青は素早く近づき、その動きを封じ込めると、荒々しく口づけた。
悔しいほどに知りつくされた身体は、本能的な快感にびくりと脈打った。



「食えよ」



口づけの合間に乱暴に匙が口内に突っ込まれる。
粥のようなものが抵抗する暇もなく、喉元を落ちて行った。



「…っごほ」

「こんな食わされ方したくないなら、自分で食べろよ」

「絶対に…許さない…!」




苛烈な瞳で燕青を睨みつけると、ほんの一瞬だけ燕青の顔が歪んだ気がした。




「別に、俺はお前を捉えておければもう、なんでもいい」

「…おまえ…」



独り言のようなそれに、静蘭は戸惑った表情を見せた。
怒りはまだある。憤りも。もちろん許す気なんて毛頭ないし、恐らく燕青も許される気はないだろう。
それでも、どんな感情よりも強い恋情が、燕青を憎めなくしていた。




「覚えておけよ静蘭。俺の元から居なくなるくらいなら、全ての自由を奪ってでも俺はお前を繋ぎとめる」





部屋から出ようと画策すれば、手を。逃げ出そうとすれば、足を奪われるだろう。
そう思わせるのに十分な表情で、しかし燕青は薄く笑って言った。
狂気の色をうかがわせるその姿に、静蘭は知らずに膝をついていた。





恋の闇
(それが君を傷つけることになっても)




END

恋シリーズ第二段(?)
中二病みたいな設定ですみません。
狂愛的なのも実は結構好きです。
燕青みたいなタイプが狂っちゃたら絶対逃げられないと思う。










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