いい男！

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「アンタってさぁ、面食い？」

「は？」



突然聞いてきたことの男は確か……なんだったか。
ともかくタンタンと呼ばれてたわけだしタンタンでいいだろう。
彼はタ呆れと尊敬を混ぜたような顔でそう言った。
意味がわからなくて聞き返すと、困ったように頭をかきあーとかうーとか言いながら言葉を探している。



「なんつーか…たけのこ家人と、その、デキてんだろ？」

「…よく分かったなー」



俺と一緒で頭悪そうなのに。
態度には出さなくとも燕青は結構驚いていた。
静蘭が周りにばれるようなヘマをするとは思わなかったので、この男が鋭いんだろうと思ったのだ。



「だってよお、タケノコ家人と一緒にいたらたまーにお前の話になんだけどさ、すっげ幸せそうな顔するんだぜ？」



あの顔の時ばかりはこいつも人の子だって確認させられちゃうぜ。
と続くタンタンの言葉なんてろくに耳には届いてなくて、燕青は頬がゆるむのを抑えられなかった。



「タケノコ家人すっげえ気い強いだろ、でもアンタ別にマゾな人じゃなさそうだし、なら顔かなあって」

「ま、確かにマゾの人じゃねえな」




燕青はにやりと口角を上げて野性的な笑みを浮かべた、
確かに顔も初めて見たときから信じられないくらい綺麗だとは思ったが静蘭の魅力はそこだけじゃない。



「気のきつい美人が自分の前でだけ態度違ったりしたら燃えねえか？」

「俺あんま美人の知り合いいないしなー。ああ、でもタケノコ家人で想像すると燃えるというよりゾっとするね。ナニ企んでんだー？！って」

「企みなんて乗ってこそだろ」

「いや、俺まだ死になくないし」



即答するタンタンに、いったい静蘭は彼に何をしたのだろうと思う。
まあでも、静蘭にならちょっとくらいだまされてもいいかも。と思う程度には溺れている自覚もあるので燕青はタンタンの言葉になるほどなーと相槌を打つだけにとどめた。
遠くをみるような目つきでタンタンは言葉を続ける



「俺さあ、あんなおっかない美人捕まえとくのお嬢様にしか無理かなって思ってたんだけどさ、素のままでもちゃんと捕まえとける奴いたんだなてちょっと感動」



彩雲国は広いぜ、と言ったタンタンに燕青は噴出した。



「静蘭が聞いたら間違いなく抜刀してるぜ？」

「え、いないよな？！」



ぎょっとした顔をするタンタンに燕青はなおも笑い続け、同時に静蘭がちょっかいをかける理由が分かった気がした。
これだけ良い反応をされたらおもしろい。



「ま、最初の質問に戻ると、面食いかー？って聞かれればそうかもしれないけど、俺初恋が静蘭だからよく分からん！」

「え？…初恋…？アンタみたいないい男が？」

「たぶんあっちも同じだと思うぜ？」

「ええ？！あ、あのタケノコ家人が初恋の相手と今も続いてんの、か？」



目を白黒させるタンタンを面白いなあと眺める。
嘘は言ってない。



「ちなみにいつ頃の出来ごとかお聞きしても…？」

「１０年以上まえのことだなー」

「１０年？！…アンタ、すげーな…」

「ま、惚れた弱みだな」



静蘭のことを考えたのか、幸せそうに笑う燕青にタンタンはこっそりため息をついた。
燕青のことを話す静蘭と同じ表情。
本当に、嫌になるくらい








いい男！
こんなのに勝てるわけがない







ＥＮＤ



静蘭出てない…
なんか静蘭書かないと不完全燃焼な気分です