病み気味三和と人肌恋しい櫂くん。
※三和櫂以外の櫂受けあります。




知ってる知ってる。
櫂ってば超強くてかっこよくって顔もイケメンで声もエロくって特に寝起きなんかもう顔も声も鳥肌立つくらいの勢いでエロくって背も高くてスタイル良くて足長くてそのくせ友達は俺しか居なくってだけど実は結構年下に慕われてたりしてででもちょっと寂しがりでそこがまた可愛くって。あと意外と頭悪い。勉強はできるけど頭悪い。
幼い時に両親がいなくなってしまったから強くならざるをえなくて、でも、だからなのか甘えられる年上に弱い。甘えられる大人っぽい何というか包容力のある人にとりあえず弱い。
あー何で俺櫂と同い年なの。いや、櫂と毎日ずっと一緒に居られて俺すげぇ幸せだけどさ。でもそれだけじゃ駄目なんだよ。




「トシキくんは愛情にうえているんだね?」

正直泣きそうでたまったもんじゃなかったけど、へへへと笑顔を作って冗談めいて言ってみる。
なあ櫂なんでそういう事すんの俺じゃ駄目なの俺悪い事したかな不快な思いさせたかな何俺とのセックスは気持ちよくないって事かなあなあなあ
なあかいおれきもちわるい?絶対に口には出さないけどっていうか口に出したら絶対泣くから言えないけどとにかく頭ん中がぐっちゃぐちゃでそれが胃の中でもぐるぐるしてて泣きそうだし吐きそうだし何より櫂はさっきから目ェ合わせてくんないし。

「別に……」

別にじゃねぇよもう。泣くからやめて。
ていうか別になに?そんな事ないってかよ。なに、なんなの、自分でわかってねぇの、何なんだよ。俺すっげぇ櫂の事見てるから分かるぜ?てかお前が愛情にうえてるなんてちょっと見たらわかると思う。うん。だってお前超そーいう顔してるもん。すぐヤらせてくれそうだもん。かわいーかわいー顔して寂しいって目で訴えてくるんだから、愛おしくってたまらなくなる。櫂は可愛いなあ。
だけどそれは俺だけに向けるわけじゃあない。

「じゃあなんでジュンとヤったの」

机に頭をつっぷして聞いてみても、返事はない。櫂、俺は返事しないのが一番ずるいと思う。ていうかつらいから返事して。
ちらっと頭を上げて櫂を見れば、なんかちいさい子が親に怒られてるみたいな顔をしていて、可愛いけど、なんか、また泣きそうになる。
可愛いけどさ、なんか、最近そんな顔ばっかしてんじゃんかお前。
笑えよまじで頼むからさあ本当俺そろそろ内臓が悲鳴上げてるから優しくしてくれよ。可愛いけどちょっと偉そうな顔して上から目線な感じで俺の名前を呼んでくれよ。
なあ、櫂ってば。

「……なりゆきで」

考えて考えてそれで出たらしい結果をぼそぼそと櫂は呟いた。
お前前に光定とヤった時もそう言ってただろ。
なんでなりゆきで付き合ってもないやつとヤるんだよ。わけわかんねえよ。
昨夜、櫂とジュンの間であったであろう事を想像してまた吐きそうになる。やめろやめろジュンそれ俺のなんだよだから触んなよ頼むからなあ櫂は俺のの筈なんだよ。
なあ櫂、もしかして俺がおかしいのか?俺が頭おかしいのか?俺は櫂と付き合ってて好き合ってて、だから櫂とキスもセックスもするし、櫂が大好きで櫂を守りたいから他のヤツから櫂を守ろうってこんなに頑張ってるって言うのに。

「なあ俺と櫂って付き合ってんの?」

「ああ」

うっわー即答してくれんのはすげえ死ぬほど嬉しいけどそれなら態度で示してくれよまじで。余計ワケわかんなくて頭痛くなってきた。嬉しいけど、その分つらい。
じゃあ俺間違ってないんじゃねぇの。俺らの付き合うの定義がかみ合ってねぇの?なんでお前は頭悪い女子高生みたいな事ばっかすんの。
何で俺だけを見てくれないの。
優しく頭撫でられたらそいつの事好きになるし、抱きしめられたりなんかしたらこの人にならみたいな緩い思考で足開くし。お前ってまじで緩いよな。色んなとこが。
俺の愛じゃ暖かくないってか。俺の愛だけじゃ足りないってか。
俺には年上みたいな優しい優しい包容力が足りてないってか。
俺はどうすりゃいいんだよ。

「何で俺はこんなにもお前の事が好きで好きで愛してて必死なのに、お前は俺を愛してくんないの」

あーだめだ、泣く。
櫂の大好きな『年上』みたいな余裕を見せる為に、泣くなんてぜってー一番悪い事なのに、なんか、もう、むり。
はいはい、どうせ俺は子供ですよ。クソッ。涙とまんねーよ。

「三和……」

ぼやける視界で櫂を見れば、それはそれは傷付いた顔をしていて、なんでお前がそんな顔してんだよと思いつつ、やっぱり俺は櫂にこーいう顔しかさせられないのかとまた涙が溢れた。あー情けねぇ情けねぇ。

「それでも俺が一番好きなのは三和、だから……」

もごもごと櫂らしくない顔と声と言葉で俺の服を掴む。
だーかーらー!そういうのが駄目なんだって。
何故だか泣きそうな櫂の頭をぐしゃぐしゃと撫でてやれば、小さくすり寄ってくる。なにそれ無意識?
普通に考えたらさ、可愛いわけないじゃん。自分より背高くてイケメンで足長くてなんかもう色々とかっこいい、どこからどう見ても男のこいつが。可愛いわけないのに、なのに俺にはどうしようもなく可愛く見えて愛おしくって愛おしくってもう本当に守ってやりたくってたまらない存在なんだよ。
何か言ってやりたいのに、言葉が出てこない。
櫂が少し頭を上げれば、ばっちりと俺と目があった。じいっと俺の目を見つめるその緑色は、本気でたちが悪いくらい綺麗で、何だか堪らなく櫂の事が愛おしくなって、吸い込まれるように櫂にキスをした。
あー、わかったわ。全部わかったわ。

「櫂……」

名前を呼んで、頬に手を添えれば、いつもなら隙なんてないくらい張りつめられた櫂のまわりの空気が柔らかくなって、とん、とすぐに押し倒す事ができる。
あーあーこれが『なりゆき』ね。
うん、そういう雰囲気になっちゃうね。


結局そのままセックスしちゃって、はぐらかされる。
んで数日したらおんなじ事になってんだろうなあと思う。

本当に弱いよな。俺も、お前も。


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