扉を開けると、部屋の持ち主が泣いていました。
はらはらはらはら泣いていました。
理由を問うてみましたが、わからないと首を振るばかりでした。
わからないわからないと首を降りながら、ごめんなさいごめんなさいと泣いていました。
許しを乞うた少年は、死者のような輪郭をしておりました。
許しを乞うた矛先には、今はいない誰かがおりました。
「愛した人が死にました」
少年ははらはら泣きました。
青いビィ玉がぽろぽろぽろぽろこぼれて壊れていきました。
わたしもおいおい泣きました。おいおい泣く真似をしました。涙は出ていませんでした。
わたしは人間ではありませんでした。
人間ではないと思い出しました。
足元には拳銃が転がっていました。少年は空っぽの拳銃で、見事に自殺を成し遂げました。
わたしはおいおい泣きました。
少年ははらはら泣きました。
青いガラス玉が壊れた死を見ておりました。
「愛した人が死にました」
わたしはおいおい泣きました。
わたしはおいおい泣きながら、少年の名も愛した人も思い出すことができませんでした。
BAD,1/1
(日記log)