死すら厭いませんから

「お久しぶりです鬼灯さん」
「お久しぶりです、名前さん。今度は本当に正規で来られたようですね」
「来たくなかったですよ、できたら…」

私は、常人じゃありえない回数の臨死体験をした。だからもうこっちの人達にも顔を覚えられていて私も知っている人がいるほどだ。この鬼灯さんみたいに。

「私は」
「…」
「貴方が早く来ないか毎日待ち望んでいました」
「はあ」
「ここは現世と違って死別は縁遠いものです」

遺される、ということがない。大切な人と永遠に近い時間を一緒に過ごせるのだ。

「さあ、行きましょう」
「………はい」

鬼灯様の手はゴツゴツしていた。固く握り合い、私たちは歩き出す。
きっともう二度と離してくれないだろうな、と私はむず痒い幸せに浸った。

title:31D

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