代わりなんていらない




コンコン…

「ベル、ちょっといいかぁ?」

「…………」



この声は、スクアーロだ。

いつもは声が大きいスクアーロ。

しかしこの頃は俺を気遣ってか、俺の所に来る時は心持ち小さな声になる。



「……入るぞぉ」



ガチャリ、とドアが開き、スクアーロが入ってくる。



「……何か用?」



俺が聞くと、スクアーロは少し難しい顔をした。



「お前に紹介したい奴がいる」

「紹介…したい奴?」

「あぁ…。マーモンの、後任だぁ」

「……!!」



…は?

何?

マーモンの、後任?

それって…


マーモンの代わりってこと?



「な…何だよ…ソレ…」

「ボスの、命令だぁ」



ボスの命令?

そんなの知らない。

知らない知らない知らない知らない知らない知らない!!



「やだ!!俺はマーモンの代わりなんていらない!!!!」

「落ち着けぇ、ベル!」

「うるさい!俺はマーモン以外いらないんだよ!!」



スクアーロに当たるように怒鳴り散らした。

スクアーロが逆ギレしないのは、俺が今感情のコントロールが出来ていないのをわかっているから。


わかってる。

こんなこと言っちゃいけないって。

このままマーモンのいた場所が空いてたらヴァリアー的にもヤバいって。

わかってる。

わかってるんだ。


でも、俺はどうしてもマーモン以外は認められない。


マーモン以外の奴を認めたら、マーモンの存在を否定してしまう気がして。

俺には、絶対にそんなことは出来ない。


 



 



 
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