目を覚ましたレオリオは、彼の体から残っていたエネルギーが抽出されたような感覚を味わっていた。そう、まるで、残り少ない歯磨き粉を、チューブを絞って出し切るかのようなものだ。

それは、踏まれたせいで覚醒したせいでもあるが、自分が今、求めているものが目と鼻の先にあることの方が大きな要因である。

あれを、なんとか手に入れたい。彼は、目をギラつかせた。彼はその微量なエネルギーをある一点に集中させ、そこへ手を伸ばした。

そして、彼の手は、対象を捕らえることに成功した。ズズズッ、っと音を立てながら対象を引き寄せ、自分の元へ到着させると、その中身を素早く取り出した。


一方、コウはまだ現状を把握しきれてはいなかった。

いきなり、目の前で倒れていた彼が半身を上げたかと思えば、自分の真横に手を伸ばしてきた。そのまま、奇妙な音と砂埃を立てて、何かが引きずられた。そして、彼は今、銀色の箱を手にしている。

これら全ての要素をつなぎ合わせた結果、自分の横に置いておいた出前箱が奪われたのだと彼女が理解した時には、
既にその中身は彼の手元にあった。

彼はあぐらをかき、中身を口の中へと掻き込んでいった。

コウがオムライスを作るのに掛かった時間は15分程度だったが、彼がオムライスを完食するのにかかった時間は、たったの1分ほどだった。

彼女は、はぁ、とため息をついた。


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