「それで、どうしたら、私がヒソカさんと協力してないって分かってもらえますか。この間、お姉さんに聞いてたのに、それでもダメってことですよね」

彼はちょうどコーヒーに口をつけていた。コーヒーは、人肌くらいの温度になっていた。

「お姉さん?」

カシャン、と小さく音を立てて、彼はカップをソーサーに戻した。このレストランには自分と彼女の二人しか居ないのに、彼女は三人称を使った。どこから第三者が現れたのかと、クロロは首を傾げた。

「グラマーで綺麗な人です。この間、お兄さんと一緒に来た人」
「ああ、彼女ね」

クロロは直ぐにその条件を適合させた。その条件を満たして、且つ、彼女に会ったことのある人間ならばきっと、パクノダのことだろう。

「彼女は、人の表情を見て、人が嘘をついているかどうかが分かるんだ。ほぼ外すことはないんだけど、たとえばキミがその道のプロだったら表情を作ることだって出来るし。だから、100%信用してる、ってことはないよ」

その言葉に、彼女は納得したような表情をして、頷いた。

パクノダには人の心を読む能力がある、などと言ってしまえば、一般人への重要な情報の漏洩となる。それはつまり、彼女をこの場で殺さなければならなくなる、ということだ。
更に、彼女への嫌疑が既に晴れていることもバレてしまい、彼、ジョージとの交渉が決裂してしまう可能性も生まれてしまう。彼が交渉を提示したのは、疑いを晴らすためだ。それ故、『疑いが実は存在していない』ということが判明してしまえば、交渉は存在意義をなくしてしまうからだ。そうしてしまえば、あの男との接触は不可能となる。そのため、彼は一瞬で嘘を作り上げた。


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