やっちまった。そう思った時には、既に彼、レオリオはアスファルトを抱いていた。

ハンター試験を1ヶ月後に控える身で、体力には人一倍の自信があった。だが、一週間、何も食わずに体を動かすと、流石の俺でも倒れるらしい。レオリオは、力無く笑った。

そう、そんな新事実を発見した処で、この事実を活用する場が消滅しそうなのが、彼の現状である。
彼は、ハンター試験の会場へ向かう資金を貯めようと、一週間の短期アルバイトをし通しており、今日がその最終日だった。
明日になれば、銀行に給料が振り込まれる。そして、一週間分の食事を堪能しようと決めていた。

何故、今日に限って近道をしようなんて考えてしまったのだろう。そんなことをしなければ、今頃は通行人に発見されていたはずなのに。自分の行動を嘆かわしく思ってはみるが、そんなことをしていても、何も変わりはしない。

彼は、何とか立ち上がろうと試みた。しかし、全身からあらゆるエネルギーが抜けきってしまっているらしい。瞬きをすることにすら、苦痛を感じていた。

このままでは、浮浪者共の餌食となってしまう。彼は冷や汗を流した。

しかし彼は、現在、自分の財布には1ジェニーも入っていない事を思い出した。そこには、一週間前に最後の食料を買った証明となる紙が入っているだけだ。

それならば、盗まれる心配や盗まれた後の不都合を心配する必要はないだろう。
今はただ、眠るだけ。後で離床出来るかどうかは、運に任せるとしよう。

彼は、瞼を下ろした。


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