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ジョージは、二人を最寄りの病院へと連れていった。見たところ、命に別状はない。だが、肋骨が2、3本は折れているようだ。下手をすると、折れている骨が内蔵へと刺さっているおそれがある。特にセイジは口から大量の血を吐いていたから、その可能性が極めて高い。とにかく、早いところ専門家に診てもらう必要があった。
しかしそれは、建前であった。クロロの推理した通り、ジョージは彼女をあの場へ残すことによって、彼女と旅団を接触させるつもりであったのだ。

クロロ=ルシルフルという人間は、この上なく冷静な男である。あらゆる可能性を思い描き、自分に一番利益のある選択肢を選ぶだろう。ジョージはそう理解していた。そして、自分たちが用意したこの状況下でならば、彼は彼女と接触をするが、彼女を拉致することなく、少しばかりの情報を持って帰るだろう。ジョージの読み通りに、事は運ばれていた。


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