沖縄県にある、私立比嘉中学校。
此処にある男子テニス部は、沖縄県のみならず、九州全体の中でも、ここ最近、強豪と呼ばれるようになった存在であった。

それ故、他校からの練習試合のオファーも多い。

しかし、比嘉はその殆どを断って来ていた。

さほど強くもないチームと練習試合をする事は、自分たちの中で大してプラスにもならない上、自チームの情報をあげる事にも繋がってしまう。
そんな馬鹿げた話があるか。主将である木手永四郎はそう考えていた。

しかしそんな中で、彼らとの練習試合の約束をこぎつけたチームが存在した。

千葉県市立六角中学校。

全国大会出場の常連であり、今年の夏は、一回戦で比嘉と当たったチームである。

ストレートで比嘉に負けたとは言え、六角は関東内の強豪であり、実力は十分にあった。
練習相手としては適している上、彼らの来年以降の選手層を把握しておく必要もある。また、彼らと全国大会で当たる可能性は十分に考えられるからだ。


それに加え、実は比嘉は、六角にちょっとした借りを作っていた。

それは、全国大会の三回戦が雨天で順延になった日の出来事であった。

彼らは、顧問である晴美のとある行動のせいで、全国大会の決勝まで、宿を自分たちで探し、決勝まで時間を潰さなくてはいけない状況にあった。

その状況で手を差し伸べたのが、一回戦で彼らに負けた六角中であった。
彼らは自分たちが利用していた宿舎に、比嘉の部員を招いた。

無論、彼らも比嘉の情報を得るという目的があり、純粋な動機のみで彼らを助けた訳ではない。

しかし、そうは言っても借りは借りである。返さなくてはいけない。

そうした意図もあり、木手は六角からの練習試合の申し出をOKした。
早乙女も特に反対をしなかったため、そのまま話は進んでいった。

そうして今日、11月7日から3日間、六角と比嘉の、練習試合を兼ねた合宿が開始した。


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