白澤さんと杏仁豆腐
今日は暑いから、キャミソールとハーフパンツでいいだろう。風呂から上がって、服を着て、肌のケアをした。その後で、私は座椅子に腰掛けて、デザートを食べていた。

「あれ、杏仁豆腐じゃん。新作?一口ちょーだい」

三口くらい食べたところで、右肩のあたりからそう声がした。彼も風呂からあがったらしい。膝立ちの状態で、私の背後から座椅子を掴む。そしてゆるゆると座椅子を揺らした。子どもっぽいそのおねだりに、私は折れた。
少しだけ彼の方に体を寄せ、左手で一口すくう。そのまま右肩の高さに上げると、彼はそれに食いついた。
「うん、吃好。美味しい」
私は体を元の位置に戻して、今度は利き手で杏仁豆腐を掬った。うん、美味しい。ねぇねぇ、もう一口とねだる彼を無視して、私は食べ進めていた。あと二口くらいで終わりだ。その内の一口を、自分の口元に持って行った。
そのときだった。背後から、右腕を掴まれた。少し傾いた拍子に、スプーンから杏仁豆腐が零れた。そして白い塊は、私の胸のあたりに着陸した。冷たいそれが肌を滑る感覚に、私は思わず、小さな悲鳴をあげた。

「あーあ、落としちゃった。大変だ、拭かないと」

そう言うと彼は、座椅子の背もたれを手前に引いた。その後で手を離すと、私の体は床と平行になった。
カップからは、残りの杏仁豆腐は零れなかった。あと一口残っているのに、カップは彼にひょいっと取られてしまった。カップを机に置くと、彼は座椅子と私に跨った。

「……わざと、ですよね?」
「それ、僕のセリフ。そんな格好されちゃ、構いたくもなるって」
「格好なんて、関係ないくせに?」
「あは、バレた?まぁ、僕は僕のデザートを食べるだけだよ」

キャミソールを捲り上げて、慣れた手つきで彼は下着を外した。

「キミは肌が白いから、杏仁豆腐みたいだね。クコの実もちゃんと付いてるし」
またしょうもないことを。そう毒を吐こうとした瞬間に、私は食べられてしまった。


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