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「今日おじさん、本当機嫌良かったね。いつもは悪いってことじゃないけど、今日はやけに楽しそうだった」
「久しぶりにお前に会えたからじゃねーの」
「そうなのかな」

部屋に戻りお風呂の準備をしていた阿部に、名前はポツリと尋ねた。明らかにいつもと違う褒め方(いや茶化し方とでも言うべきか)をされて、少しだけだが気恥ずかしさというものを感じた為である。

「いや、まぁ確かに俺も驚いたけど。普段あんな事言わねーもんな」
「うん。でも、嬉しかった」
「?」
「少しは認められてるのかな…って思えたから」

急な彼女の発言に、阿部は準備をする手を止めた。しかし、至って名前は真面目なようで。阿部は着替えを脇に抱え、ヒョコヒョコと彼女に近づいた。

「お前なぁ…俺が娘だったら話はわかるが、俺は男だぞ?」
「や、自分の子供なんだからある程度は厳しい目でみるでしょ?」
「そうかぁ?」

もし仮にそうだったとしても、名前ほどの人物だったらそうは否定されないと思う。と付け足すと、名前は照れた様子で頬を小さくかいた。

「名前」
「なーに」
「風呂今から行くけどお前も入るか?」

話を切り換えると、名前は表情を戻し、阿部を暫し見つめた。そして一度だけコクンと頷くと、自らも準備を始めた。

「先行ってるぞ」
「うん。すぐ行く」







脱衣所へ名前が入ると、パンツ一枚の状態で、自分の膝をジッと見つめる阿部がいた。一体どうしたんだと、視線だけ送りながら名前も脱ぎ始める。

「…新人戦」
「え?」
「新人戦も出れそうなんだけどなァ…」

溜め息混じりに名前と視線を合わせる阿部。名前も視線は反らさず、尚且つ服を脱ぐ手も休めずに話を聞く。

「でも三橋に俺と田島君で頑張るから阿部君は休んで、って言われた」
「当たり前よ。新人戦まであと一週間弱、危ない橋は渡るべきじゃない」
「…それはわかるんだけどさ」
「はい、諦める諦める。お風呂冷めちゃうよ」

背中を押す素振りを見せると、ようやく阿部は下着も脱いで風呂場に入った。まだ微妙に納得がいかないような、不服そうな曖昧な表情ではあるが、きっと監督も新人戦は許してくれない。それにどちらかと言えば秋大の方が重要だ。そう考えると新人戦は田島に任せるのが得策と言えるだろう。

「隆也。今日は頭も洗ってあげる」
「おお、マジで」
「うん、サービス。というか、二人並んでは洗えないしね」
「確かにそうだ」

阿部を椅子に座るように促すと、名前は彼の後ろに膝立ちし、髪を濡らして早速泡を立て始める。
暫く風呂場には頭を洗う音だけが響いた。そうして大体洗い終わったと感じた頃に、一旦名前は手を止める。

「痒い所はありませんかー」
「特にねー」

阿部の返事と共に、名前はシャワーのノズルを握って丁寧に泡を流していく。
その後、手に石鹸を取り、泡立てて阿部の背中から洗っていった。肩から背骨にかけて丁寧に洗う。そこでふと、名前はタオルから手を離し、両手でわき腹の辺りを撫でた。元々脇も横腹もくすぐったがらない阿部だが、石鹸が付いていたらどうなのだろう、という考えが過ぎったからだ。

「………」

しかし、案の定阿部は特に反応も見せずに普通にしている。名前からしたら本当に不思議でしょうがない。

「…もう、なんで効かないの」
「何が?」
「くすぐったくないなんてホント不思議」
「ああ、そのことか。俺だって不思議だっつの。横腹どころか脇も首も俺効かねーんだぜ?まぁ、別に困りゃしねーけど」
「もー、つまんない」

くすぐったがらせる作戦は呆気なく失敗に終わった。名前は諦めて、作業を進める。一度床に置いたタオルを使うのもあれなので、そのまま手で洗い続けた。後ろから抱きつくような状態で、前の方も洗う。

「お、それいいな」
「え、何?」

鎖骨から段々下に降りてきて、お腹の部分まで来た時、阿部が口を開いた。若干嬉しそうなのは気のせいだろうか。

「胸が背中に当たる」
「変態」
「いーじゃねーか別に。減るモンじゃねぇし」
「や、減らないけどさ?」

このまま止めてしまおうか、とそんな考えが頭に浮かんだ時、不意に手が彼の股間に触れてしまった。

「隆也…」
「何だよ」
「おっきくなってる……」
「はぁ?たりめーだろうが」
「え、当たり前なの…?」

何を今更、みたいな表情で振り向いた阿部に、名前は目を瞬かせた。

「丁寧に洗われてる上に、胸まで押し付けられたんだぞ。反応しねぇ方がどうかしてる」
「…これどうしたらいいの?」
「別にほっといてくれて構わねーけど」
「でも辛そう」
「じゃあ抜いてくれんの?強要はしたくねぇから俺はどっちでもいいよ」
「…んー」

折角選択制にしてくれたのだから断る事もできる。だが一回見てしまったので、ほっといておくわけにもいかない気がする。それに、名前自身、阿部が気持ちよさそうにしてくれるのを見るのは好きだった。
だから。


名前は意を決して阿部の息子に手を伸ばした。




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