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「おかえりー。やっぱり混んでた?」
「はい、一時間待ちました」

阿部と三橋が斎藤さんから帰ってきた。坂道を押してきたせいか、三橋の息は相当上がっている。

「それで、三橋君。お医者さんは何て言ってた?」

監督の言葉に三橋は戸惑う。メモを取れるように自身のバインダーを手に監督の横にいた名前は、言葉が出てこない三橋を見ながら苦笑するしかなかった。

「う、あ…えー…っと…?」
「テーピングして、アイソメトリックと全身運動始めるように言われました」

吃る三橋に痺れを切らし、阿部が代わりに発言した。まぁ、これはもう仕方がないことだが、監督が期待していたようにはならず、少し返事の間に間があいてしまった。

「…………………うん、わかった」
「あ、それと。斎藤先生が監督のこと覚えてて、よく選手連れてきたって懐かしがっていました」
「…………………」

また更に間があいた。流石に阿部も不審に思い、首を傾げたが、監督はすぐさま切りかえて、笑顔を向けた。

「伝言ありがとう!さ、中に入ろうか。三橋君は顔洗ってからね」

そう言って監督はそそくさと中に入った。三橋も急いで顔を洗いに行く。そのため必然的に二人きりになった名前達は、お互いに顔を見合わせ、先程の監督について話した。

「監督……ちょっと変じゃなかった?」
「ああ。…お前、監督の話聞いたか?」
「選手一人にマネージャー一人だったってやつ?え、もしかして先生が言ってたのってその頃のこと?」
「わかんねーけど、さっきの監督の様子からして可能性は高いよな」
「そうだね…」

とは言ってもはっきりとしたことはわからない。このことはまた追々、聞いていきたいなと名前は思った。





「さて、今日は食べ物の話をするよ」

部屋に入ったら、志賀先生がホワイトボードを指差しながら話を始めようとしていた。阿部は邪魔にならないように隅に座り、任務がある名前は、そのまま先生の横に並んだ。

「さて、いきなりだけど、君達は野球選手としては貧弱だ。技術は勿論だけど、全国で戦うにはパワーも必要不可欠!そのために、食事トレーニングを今まで以上にはっきりさせていくからね!でかい体作って、筋肉のパワーを実感しよう!」
「はい!!」
「じゃあ順に説明していこう。名字にも協力してもらって説明していくからついて来いよ!」

ペンを取ってボードに数字を書き始める先生。その横で名前は説明を始めた。

「体を大きくするにはまず量です。みんなにはこの合宿中、朝食、補食、昼食、補食、夕食、夜食の計六食取ってもらいます」
「そういうこと。…で、次は栄養系の話な。まず、三度の食事では五つの栄養素を意識して取ること!」
「即ち、糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルですね」
「阿部と三橋は朝飯係なんだろ?特にしっかり聞いとけよ!」

ビシッと指さされた二人は自然と背筋を伸ばす。そんな様子を見て、名前は少し笑みを零した。それから説明を続ける。

「じゃあ、今からその栄養素を一つ一つ説明していきます」

と言い、詳しい説明が始まった。






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