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午前中の練習が終わり、みんなはお昼休憩に入った。名前や篠岡も仕事が一段落つき、一緒にお昼にしようかと話していたところだった。

「名前ちゃん、みんなと一緒に食べよっか」
「だね。今ちょうどきりがいいし」

「名前ちゃん」
「あ、監督!」

お昼を持って二人で歩いていると、監督が後ろから名前を呼び止めた。

「今日阿部君、どうだった?」
「…あ…そう言えば今日まだ会話してないです」
「え、昨日泊まったんじゃないの?」
「泊まりましたよ。でも朝私が起きた時点ではまだ寝てました。珍しく。あのあとすぐ起きたとは思いますが…」
「そっかー」
「今からでも見てきましょうか?」
「あっ、ううん、今からじゃなくて大丈夫よ」
「じゃあ帰りに寄りますね。多分今日は膝がパンパンに腫れてるかもですから」
「うん、よろしく!」

ニコッと笑う監督に、名前も笑みを返すと、そのまま二人はみんなの元へ向かった。


そのあと一時までお昼寝があり、名前達も休憩をとった。そして一時間程度の勉強。午後の練習は二時から開始となった。

「ちーす」

午後練から参加する事になっていた浜田がグラウンドに顔を出した。すると浜田に難しい顔で話しかける花井。何やら話したいことがいくつかあるらしく、二人はネットの後ろへ移動していた。そんな二人を横目で見ながら名前は水まきをしている篠岡の側に寄っていった。

「千代ちゃん、水まき代わるよー」
「へーき!あと少しだし、私がやるよ」
「そう?じゃあ私飲み物確認しとくね」
「うん、ありがとー」

暑い中水まきするのは大変なことだが篠岡本人が平気だと言ったので、致し方ない。名前はおとなしくベンチに向かった。すると。

「名字、名字」

トントン、と肩を叩かれた。

「花井君、どうしたの?」

名前は自分よりもはるかに高い位置にある花井の顔を見上げた。

「なぁ、阿部は…秋大間に合いそうか?」
「え、うーん…そうね…本人は絶対間に合わせるって言ってるけどはっきり言って五分よ」
「もし秋もダメならやっぱし捕手は田島だよな?」
「今のところはね。だけど田島君は四番もあるし、両方は辛いだろうな」
「だよなぁ……」

急に苦笑いした花井は、がっくりと肩を落とした。

「どうしたの?急に」
「いや…さっき浜田さんにも同じようなこと言われて…」
「…それで?」
「……っ、だから、俺が捕手やったら…どうかなって…」

まだはっきりとは決めていないようだが、大方決意が固まっているようだ。名前は彼の瞳をじっと見つめた。

「それは…監督に言ってみて。きっと後から捕手について話があると思うから」
「…わかった」



「……花井君だって、これからどうなるかわかんないんだからね…」
「へっ、」
「ううん、何でもない。頑張って!花井君」
「う、お、おう!」

ぎゅっと手を握り、優しく微笑んだ名前に、多少赤くなりながら、花井は力強く握り返した。

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