どうしてこうなったのだろうか
今まで他国とはよい関係を築いていたはずではなかったか
今、隣国と本国はいつ戦争が始まってもおかしくない状態だった
その為、国の偉い人が集まって何度も話し合いをしている
国の行く末を憂う少女
その隣に立つ執事の少年は、哀愁に満ちた顔の少女をじっと見つめた
「雷杜、私も話し合いに行く事になったよ」
突然、自分の仕える少女がそう呟く
「…それは絶対なのか?」
少女――、るーしぃは静かに頷いた
彼女はこの国の王女だ
「もう、決めた事だから」
「だけど、るうが行く事ないだろ!」
彼女は眉尻を下げて笑った
その笑顔がもう何もかも諦めてるようで、雷杜は悔しくて掌に爪が食い込むほど拳を握る
「この国の王の娘だもの。私も行くのが筋なんだよ」
「…っ」
今ここで彼女の手を引いてこの胸の中に閉じ込められればいいのに
だけど、自分は使用人という立場
彼女をこの腕に抱く資格などない
雷杜はるーしぃの足元に跪き、手を取る
「…私も、王女様のお傍にいさせて下さい」
「…うん」
二人は生まれた時から一緒だった
何をするでも一緒だった二人の間に愛が芽生えるのは必然的だった
二人は主従関係だが、想い合っていた
「…夜が明けるね」
「…そうだな」
彼女は椅子から立ち上がり窓に近付く
暫く窓の外を見ていたが、振り返ると口を開いた
「例え何があっても、君の元に戻ってくるよ」
「俺も…お前に必ず逢いに行く」
名残惜しむような口振りに、雷杜は泣きそうな表情で笑った
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