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針谷幸之進の調教。(7/7)
「なぁ…佐伯。」
「……何だよ。」
「お前ってさ……アイツのこと好きなんじゃなかったのか?」
――"アイツ"。
アイツとは瑛が高校入学時から、密かに想いを寄せてる女の子。
「あぁ…好きだよ…。」
「じゃあ何で?」
どうして瑛は男と経験があるのか。
その相手は誰なのか。
針谷は聞きたくてしょうがないらしい。
自分のことは棚に上げて……。
「針谷には関係ないだろ!?」
「ねぇけど知りたいんだよ!」
「絶対教えない。」
「なっ…!そんじゃ、金輪際ギター教えてやらないからな!」
「教えてもらわなくたっていい!」
そう言って瑛は音楽室を出ていく。
走ろうとしたが、身体がダルくて無理だった。
まだ、女の子相手にだって経験がないのに、男とは何回も……。
若王子に針谷。
しかも、入れられる側。
瑛は腰をさすりながら、ゆっくり廊下を歩いていく。
そう、今度は誰の餌食になるとは分からないままに………
-END-
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