独占欲(5/9)



コックをひねり、シャワーを出して、

シャワーの温度が丁度良くなったのを確認し、真奈美にお湯をかける。


「慧君…?ねぇ、どうしたの?」

「僕が洗う。」

「え……?」

「那智に触られたのは、髪だったな?」

「う…うん。」


真奈美の髪にシャワーをかけ、濡らす。

そして、シャンプーのポンプを2回押し、手のひらで軽く泡立て、そっと真奈美の髪に触れた。


「えへへー。」

「ん?どうした?」

「人に髪触ってもらうのって気持ちいいなって思って。」

「相手が那智でもか?」

「それは違うよ!…慧君…だからだよ……?」

「そうか……。」


――純粋に嬉しい。

少しだけ、那智に対抗心を燃やしていた自分が恥ずかしくなる。


「で、髪の他は手だったな?」

「うん……。」


今度は、ボディソープのポンプを押し、手のひらで泡立てる。

そして、そっと真奈美の手を撫でると……


「……ッ…!」

「真奈美…?どうかしたか?」

「…ッ…何でもないよッ…!」

「……もしかして、感じたのか?」

「ちっ…違うよ!」


そう言って、真奈美は俯く。

俯いていても判る。

顔が真っ赤なことくらい――…。




次へ
前へ

戻る

×
- ナノ -