日曜日の昼下がり、テスト前で部活は休み。
自主練を終えたあと、本屋に寄りたいという黒子の希望で、俺たちは駅前に来ていた。
日曜日というだけあって騒がしい。
「いてっ」
小さいものが足にぶつかる。
その辺を走り回っていた子どもだ。
下を見ると目が合う。赤いワンピースに二つ結びの女の子は、なんだかひどく怯えた顔をしてこちらを見ている。
「気ーつけ「キャ―――!!ごめんなさい!!」
一目散に走っていった。
『逃げた』という表現の方が正しいかもしれない。
「………」
「……怖がられてましたね」
「…何にもしてねーよ」
「睨まれたと思ったのかもしれないですね」
「………」
生まれつきこの目つきだよ。
確かに、今まで子どもや動物には、逃げられた事の方が多い。
(ちょっとへこむわ…)
「子ども嫌いじゃないんでしょう?」
「…むしろ…」
どっちかというと好きな方だ。
わめくし走り回るけど、何をしても楽しそうで羨ましい。
「そうですよね、知ってます」
ふふ、と静かに笑う。
「君の不器用なところ、好きですよ」
「……そうかよ」
俺も、お前のそういう、ハッキリ言えるとこが好きだ。
言ってくれて嬉しい、とは、恥ずかしくて言えなかった。
「僕と火神くんの子どもっていうと、どんな感じになるんでしょうね」
「性格間反対だからなー」
「髪色はお互いを足して紫でしょうか」
「………」
「………」
「………………嫌な奴思い出した」
「僕も恐らく同じ人を」
俺たちの子ども、なんて、馬鹿げた妄想だと思われるかもしれない。
「今日は気持ちいい天気ですね」
でも、未来はどうなるか分からないから、何か出来るようになるかもしれないから、
無条件にそう思えるのは、
「…お前のおかげだなー」
「え?僕ですか?」
お前と一緒にいたいから。
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子ども好きな火神がいいなあ。
20120503