自販機の前で、見知った顔を見つけた。


「…あれ?青峰くん」

「おー、テツ」

「青峰くんの試合場所もここだったんですか」

「おー。そーいやお互い場所の話しなかったな」


昨日の電話を思い出す。誠凜との試合以来、彼は練習試合にも参加するようになったらしい。今日練習試合があるのは僕も同じで、お互い頑張ろうと会話を交わした。

目の前で飲み物を選ぶ青峰くんを見やる、
うっすらと汗ばんだ首筋、…全力を出さないにしても、真面目に練習しているというのは本当のようだ。



「テツ」

「はい?…っん」

振り向きざまにキスされた。


「ちょっと、誰か見てたらどうするんですか」

「いーじゃん別に」

「良いとか悪いとかじゃなくて…」

誠凜のメンバーは関係を知っているけれど、見られたらからかわれるに違いない。


「なに、テツくんは見られるのが恥ずかしいんですかー?」

「…またそうやって…」

「じゃあこっち」

「わ、」


手を引かれて、近くにあった部屋に入る。並ぶロッカーとベンチ、床に転がっているカバン。別の学校の控え室のようだ。


「青峰くん?ここ別の…」


ガチャリ、
青峰くんが後ろ手に閉めたのは、―――鍵だ。


「ちょっと、何してるんですか」

「外じゃキスしたくないって言うから。ほら、こっち」


奥に連れていかれて、


「…んっ…」

熱い舌に咥内を掻き回されて、貪るようなキス。


「ん、ぅ……ふ、…っ」


まるで獣みたいで、キスだけで犯されているように感じてぞくぞくする、


「ん…っひゃ!」


首筋を舐め上げられて、思わず高い声が上がってしまう。身体をどかそうと腕を掴んで力を込めたけれど、びくともしない。舌の動きは止むことなく徐々に下がっていく、


「っ青峰く、だめっ…ぁ!」


直感的に、青峰くんがしようとしていることが分かった。


「だめ、人が、っぁ!」

「鍵掛けといたから平気だろ」


淡々と答えながらTシャツをめくって胸の先端を舌先で責め立てられる、


「っぁ…ゃ、あ!っんぅ……っ」


思わず大きな声がでてしまって、瞬間的に口を塞がれた。


「っん!んぅ、っんー…!」


口付けたまま下着の中に手を入れられて、直接自身を撫でられる。


「…びちゃびちゃなんだけど」

「っや、…ぁ…んっ」


先走りをすくい取ったかと思うと、指が下におりて、


「…っぁ!」


穴に塗り込んでいく、冷たい指と一緒にぬるぬるしたものが入ってきて、くちゅりと音を立てた。ゆっくりと動かされて、くちくちと音だけが響く。
内壁を擦る動きに腰が跳ねて、


「っん…、ぅあ…っ、っあ」


こんな所で、したくない、してはいけない、
思えば思うほど身体がふるえて、触れられるだけで高い声を漏らしてしまう。


「ぁんっ…ゃぁ」

いつしか勃ち上がっていた自身を上下に擦られて腰が跳ねる。


「足上げろよ」


下着ごと脱がされてひやりとした感覚、先端から溢れた先走りが、下着に付いて糸を引いてしまっていた。


「…お前濡らしすぎ」

「ちがっ…ぁっ」


ニヤリと笑う顔が悔しい、でも、そんなこともうどうでもいい、


「後ろ向けよ」

「…っん…ぁ、…あぁぁぁ!」


当てがわれて一気に貫かれる、身体を襲う圧迫感。


「ん、ぁ…あぁっ…」

内壁にめり込んでいく音と共に一瞬の甘い痛み、それも快感ですぐに掻き消されて。


「っきつ…」

突き上げながら吐息混じりに呟く声が聞こえる、
きついのは僕も一緒だ、張り詰めた青峰くんのものがぎゅうぎゅうに押し込まれて苦しくて、なのに溶けてしまいそうに熱い。


「っぁん!ぁっ、あ、やぁっ」

壁につく手が汗ばんで滑りそうになったそのとき、



ガチャガチャガチャ、



「!」



ドアノブを回す音。


「あっれー?あかねーぞ?」

「カギ壊れたかー?」



「………!」


中に入ろうとする声が聞こえる、この控え室を使う生徒達だろう。


「……っ、」

繋がったままお互い息を潜める。
と、静かに腰を動かし始めた。


「…っぁ…!っんん、」

上ずった声が漏れると、そばにあったタオルで口を塞がれた。


「っん、んっ…!んっ、ぅ」


ぬちゅ、ぬちゅ、くぐもった水音が静かに響く。少しでも油断すると大きな声を出してしまいそうで、腰の疼きに耐えながら必死にタオルを噛む。


「間違えてカギ閉められたんじゃね?」

「まじ?どーすりゃいいんだ?」


外の声は至って普通で、中で繋がっている僕たちの姿は、あまりにも非日常的で。
見つかってしまうかもしれないと思うと余計に高ぶって、背筋がぞくりとした。


「っん、ぅっ…んんっ!」

突然自身を擦られた。後ろからであまり見えないはずなのに、まるで見えているかのような手つきで。尿道をいじられて、滲み出た先走りがくちゅ、と音を立てた。


「…さっきより出てる。お前、この状況で興奮してんの?」

耳元で囁く声。口元はきっとニヤついているのだろう、見なくても想像がつく。


「っん、んっふ……は、」

タオルが外される。唾液が引いて垂れた。


「声出せば」

「…っゃ、っぁ、…ぁんっ」


慌てて自分の手を当てる。


「見つかりそうで興奮すんだろ?いっそのこと見られちゃえば」

「っやめ、ぁっ、やぁっ…!」



突かれる速度がだんだんと上がって、ぶつかる音が大きくなっていく。
本当にバレてしまうかもしれない。


「…お前、締め付けすぎ…っ」

「……っだ、…って……っ」


耳元で響く声も甘い囁きにしか聞こえない、ぞくぞくする。


「とりあえず運営のとこ行ってみよーぜ」

「全員こっちなー」



声が遠ざかる。



「…行ったな」

「…っゃ、っあん!あっ、あっ」


途端に強く突かれ始めて、声が我慢できない。



「…お前、やっぱ見られたかったんじゃねえの?」

「…ちがっ…あっ、や、そこだめっ…」

「嘘つけよ、こんな硬くして」

「やっ、ちが、あぁっ」


奥を突かれながら前立腺をなぞられて腰が浮く。


「っぁ!やぁ、ぁんっ」


突き上げは激しくて乱暴なのに、扱く手つきは妙に優しくて。



「ここで出しちゃダメだからな」

「っゃ、ぁ、なんで…っ」

「俺はお前の中に出せばいいけど、お前出すとこないだろ」


ぐりぐりと内壁の一点をえぐられて腰が跳ねる、反論しようにも言葉が喋れない。


「っやぁ…!っぁ、あ!ゃ、ぁ、あん…っ」


後ろから自身を上下に擦られる、今にも達しそうになったそのとき、指が根元に巻きついて、突然きつく締められた。


「っぁ!やぁ、なん、で…っ」


イきたくてもこれじゃ出せない、本当にイかせないつもりなのかもしれない。



「っやだぁ、ぁ、あんっ…あぁっ」

今すぐにでも射精したくて先は震えるのに、根元が押さえつけられて達せない、おかしくなりそうで腰が震える、


「っぁん、ゃ、おねがい、青峰くっ、やぁっ」

「何、お願いしてみろよ」

「…イか、せて、っ…ぁんっ」

「こっち見てお願いって言って」


壁にしがみつきながら必死に後ろを向く、


「イキたい、ぁっ…おね、がい…っ」

「…いいぜ、ほら、」


根元の指が外される、止められていた精子が途端に流れ出すような感覚、


「っやぁぁ!あんっ、ぁ、やぁっ」


先ほどよりも早い速さで擦られて、突かれて、頭が真っ白になる、


「いっ…ゃ、あ、いっ、ちゃ…ぁ、あぁんっ」

「…イけよ、…っ」

「いく、ぁっ、いくっ…あ、ぁんっ、やぁぁぁ!」


自身が数回ふるえて、ぴしゃぴしゃと壁に飛び散った。













「…お前、エロすぎ」

「ちが、…っぁん!」


抜いた自身を勢いよく戻されて、思わず声がでてしまった。嬉しそうに笑う声が腹立たしい。睨み付けると、悪い悪い、と笑いながら抜かれて、後処理をしてくれた。
乱暴なのに意外と優しくて、こうやって面倒見がいい一面もあるから、憎めない。


「…ずるいですよね」

「ん?何が?」

「何でもないです」

「ふーん」


何でもなさそうに呟く。


「なーこれいる?お前の精子拭いたタオル」

「…………いらないです」

「じゃあ俺持って帰ろっかなー」

「やめてください」


手の平で転がされているようで悔しくて、
でも、昔みたいに笑い合えることが嬉しい、

楽しそうに笑う笑顔が嬉しい。



やっぱり、
好きだ、この人が。


「…あっ!お前試合は?」

「終わりましたけど。青峰くんも終わったんでしょう?」

「…いや」

「……会ったとき汗かいてなかったですか?」

「あれはアップ」

「…………」

「……おい!どこ連れてくんだよ!」

「桃井さんが探してるはずです」

「テツ!この野郎!」



たまにはこうやって仕返しして。


きっとそれが、僕らの関係。



















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見つかりそうで声を潜めて、というシチュがとても好きです、青黒にとても似合うと思うんです…!(笑)

20120603

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