「火神くん」

「あー？」

「それ一口ください」

「ん」

「火神くん」

「あー？」

「キス、したいです」

「…ん」

「火神くん、」



続きは必要ない。

あとは、腕を回して、舌を絡ませれば、すべて伝わる、

すべてを叶えてくれるきみ。






「あっ……ん、はっ…」


この部屋が好きだ。
邪魔する人がいないから。


「……ん、ぅ…」


このベッドが好きだ。
スプリングの軋む音が、心地いい。

舌を互いに絡ませながら、彼のシャツに手を伸ばす。
もつれた指でボタンを外していると、じれったいというかのように払われて、彼自ら剥ぎ取った。



「あ……、んっ」


舌が徐々に移動する。
首筋から鎖骨にかけてゆっくりとなぞられて、ぞくりとする。



「や…触って…早く」


手を掴んで下に移動させる。



「…お前今日がっつきすぎ」

「…うるさ…あっ…ん」


彼の触りかたはずるい。

焦らしながら、触れるか触れないかのところで優しく摩るのだ。

大きくて骨張った手なのに、こういう時だけすごく繊細な動きをして、それに翻弄されてしまう自分がなんだか悔しい。

もっと触って欲しくて、自身が自然と頭をもたげ始める。


「あっ、あ…」


舌の動きは止まない。

胸の飾りを舌先でなぞられて、硬くなるのが自分でも分かる。



「…欲しい、です……」



身体を起こして、彼のジッパーを下ろす。

すでに半分勃ちかけたそれを取り出し、筋を舐め上げる。


「…っ」


…声、出してもいいのに。

でも、赤くなって声を出さまいと堪える君も好き。



「ん……ふ、んぅ……」


ぴちゃぴちゃと音がでる。
裏筋に舌を這わせながら、唾液を絡めて先を舐め、口に含んでゆっくりと動かす。

強弱を付けるうちに、
咥内で硬度と質量を増す彼自身、
それが自分の中に入ると思うと腰がふるえる。



「んっ！ン、んぅ…っ」


穴に、彼の唾液で湿った指が潜り込む。
舐めるのに夢中で気付かなかった。

上ずった声がでる。


一本、二本、何も言わずに指が増やされて、それを飲み込む度に内壁がひくつく。
抜き差しに合わせてくちくちと濁った水音が聞こえて、これからのことを想像する。

指だけじゃ足りなくて、腰が前後に揺れてしまう、

自分じゃ嫌で、揺らして欲しくて、


「…っあ……いれて、くださ…」


後ろを向いて、腰を上げる。


「っあ―――…！」



返事の代わりに、重いものが突き刺された。
ずぶずぶと飲み込む音と圧迫感、


「あっ、ぁっ、あんっ」


突かれるたびに鈍い音と甘い声がでる。
彼のものは大きくて、壊れてしまいそうだといつも思う。


「あっ、やぁ、そこっ…もっと……」


もっと奥をえぐって欲しい、
腰をさらに高く上げると、それに応えるかのようにさらに腰が掴まれて、突き上げられた。


「やっ、あぁ……っ」


彼のものでナカがいっぱいになる、
そう思うだけで、そう感じるだけでぞくぞくする、



「おい…締め付けんなよ」

「…っあ、…だって…あぁっ」


離したくなくて、

離されたくなくて。



「あっ…、もっと、もっと突いて、…おく、っ…」



返事はない、
返事がないときは応えてくれるしるしなのだ、



「っあ！…あんっ、ゃぁ、」


繋がったまま、後ろから抱き抱えられるようにして突かれる、

スプリングが彼の動きに合わせてぎしぎしと軋む。


「んっ、やぁ、ぁっ…あー…」


気持ち良い、この体勢は好きだ、まるで犯されているみたいで、
頭が真っ白になる。


「っやべ、いきそ…」


少し焦った声と同時に、片足を持ち上げて仰向けにされる。


「ゃ、あんっ…」


角度が変わる度に当たる場所が変わって声が漏れる、


「あっ、あっ、ん…っふ、ぅ、」


動きに合わせて出ていた声も、唇が塞がれて出せなくなる。
揺られながら貪るように絡め合う、
と、自身が突然握られた。


「っん！っや、あぁっ、あっ」


突かれる速さが増していく、
握られた手の中で、彼の腰の動きに合わせて自身が上下に擦られる、


「ぁ、あっ……ん、やぁ、い、いっちゃ…っ」


また頭が真っ白になるのが分かる、


「あっあっ、やっ……あぁ！」

「………っ…！」



奥で、熱いものが弾けるのが分かった。









「……は、…ぁ……」


彼のものが抜かれると、ごぷりと音を立てて白濁が溢れた。

足を動かすと肌を伝って、ぬちゃりと付け根に絡み付いて、

ナカが疼いて、



「…火神くん、」

「ん？」

「……………もっと……」




また、君が欲しくなる。



もっと壊して、

もっと許して。


すべて叶えて、

すべて阻んで。
















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さる赤い眼をしたきみ＝眼をあかく潤ませて誘ううさぎ。
火黒の黒子は誘い受けが多いのが理想です。

20120511