「……んっ………ふ、ぅ…」
絡ませた舌を離すと、銀色の糸が落ちた。
出口そばに設置された、障がい者用の個室トイレ。
俺たちはそこにいた。
「あ、っん…ぁ……」
首筋から鎖骨、胸へとキスしながら下りていく。
吸うたびに紅い跡が残る。
「しゃがんで。舐めて?」
自身を口元に突き付けると、黙って舐めはじめた。
「…ふっ…ぅ、んっ…」
静まったトイレにぴちゃぴちゃと水音が響く。
自身を両手で持ち、舌を這わせ、付け根から先端まで、角度を変えて舐め上げる。
口に咥えて、唾液を絡ませ音を立てて吸いあげる、
前教えたときより確実に上手く、…確実にいやらしくなっている。
「いいよ。ありがと」
頭を撫でると、口から自身を引き抜いた。
絡みついていた舌から唾液が伸びる、
「壁に手ついて、足広げて」
顔を朱く染めて、従う。
最初抵抗していたのが嘘みたいだ。
デニムと下着を下ろして、片足を持ち上げて外させる。
「…腰、落としちゃだめっスよ?」
「っぁ!あっ、ぁっ……ゃぁ」
しゃがみ込んで、斜め後ろから舌を差し込む。
舌先が内壁に触れた瞬間、腰がびくりと跳ねた。
「…ゃっ!…ぁ、あん……っ…」
揺れ始めた腰を片手で押さえて、わざと音を立てながら舌を抜き差しして掻き回す。
くちゃくちゃと響く水音、
「あっ……ひ、ぅ…っん」
「入れるよ」
先を当てがっただけで、ひくついた内壁がずぶずぶと飲み込んでいく。
そのまま一気に押し込んだ、
「っあぁ――!ゃっ、あっ、ぁあっ」
高く甘い声が響く。
もしかしたら外に聞こえてしまっているかもしれない、
「あっ、や、ぁんっ」
慣らしたときの唾液が動くたびにぐちゃぐちゃと音を立てる、
腰の動きを止める。
「………?なん…」
恐る恐るといった様子でこちらを見やる。
「……動いてみて」
……自分でこの音を立ててほしくて、
「…や………ぁ、んっ」
角度を変えて深く突くと、より高い声を上げた。
「欲しいなら、自分で動いてみて?」
「…………いじ、わる」
潤んで赤くなった目でこちらを睨むと、前後に腰を動かし始めた。
「…ん…ぅ……んっ」
くち、くち、結合部から音が漏れる。
ためらいがちだった動きが徐々に速さを増す、
「っぁ…あっ、……ん」
自分の気持ちいいところに当てているからか、時折声を上げながら。
「…オナニーみたい。俺いらないんじゃないの?」
「っん……ぁ、なん、…っ」
「だって、自分でいいトコに当ててるじゃないスか」
そう言ってわざと笑うと、動かしていた腰を止めた。
「…っ、黄瀬くんに…」
「?」
こちらを振り返った顔は、
「…黄瀬くんに、突いてほしい……っ」
朱く染まっていて、
「――……」
ああもう、
なんていやらしくて、可愛いひとなんだろう。
腰を掴んで引き寄せ、奥を抉るように強く打ち付け掻き回す、
「あっ!やっ、ぁ、あぁっ」
角度を変える度に、より高い声が上がる。
「ぁっ、あん、ゃ、ぁっ……」
腰ががくがくと震えてきた、我慢に我慢を重ねていたからもう限界なのだろう、
突き上げる速度を速める、
「あっ、や、いく、いっ……」
「っいいよ、俺もっ…」
ぶつかり合う音が大きくなって、結合部から響く水音が増していく、
「ぁ、っゃ、いく、いくっ……あ、っあ…!」
「………っは…」
奥に注ぎ終わった瞬間、
彼の身体がガクリと膝から崩れ落ちた。
「よし、誰もいない………立てる?」
「………はい…」
荒く息をつきながら、よろよろと出てくる。
「ごめんね黒子っち、ちょっとやりすぎたかも…うっ」
鈍い肘鉄を食らった。
「っ本当です、もう、……もう、……」
顔が真っ赤だ。
「…ごめんね?」
下から覗き込むと、顔をさらに朱く染めて、そっぽを向いた。
「…………帰ったらシェイク10杯おごってもらいますから」
「…りょーかいっス」
時計を見ると、まだ午後の2時だった。
陽射しが眩しい、
撮影のスポットライトより、学校の屋上から見る太陽より、
君と一緒に浴びる陽射しのほうが、
何よりも眩しくて、一番明るい。
「今日は一日遊び倒すっスよー!」
「えー…」
うんざりした声とは裏腹に、口元が笑っているように見えたのは、
俺の望みのせいかもしれない。
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20120507