きのう出逢いたかった

きのうの顔しか持たないこの手
喉ぼとけだけが生きている
膿んだ諦観だけであすを叫んだ
へんに暗い準則
のろいならはじめられる
右手の指紋でわかって
彫像の見るゆめ

端っこからすきとおる
しるしも兆しもありやしない
月と桔梗のあわい
手掛かりなく密度を増す
居ろって言ってもらうこと
ルビーが目のかわり
でも歯の隙間から入れた
せいぜい脈略がいいところ
薄っぺらいオパール

私の不幸せでいてよ
たましいが1グラム足りない
心臓がいちばん不安
はなさきの春
いるはずのないあなた
使い慣れない響き、異性
もっとも鋭敏

きみ、いっしょにしんでおくれ
のち、永続的にさかしい子ども
うおのように交ざりあう
脳をくじく媒質は蒼白く
涙より薔薇がいい
かけらしか燃えない
にんげん的に愚かしい

いとしい禍罪
真っ二つノスタルジイ
すべりおりる蛇のうろこ
観念まで扱えとは言えない
来世なら見つめていられた


きのうへの道は知っているでせう、
わたしはいつもきのうの中にいますから