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ジュリアンとハリーは酒を酌み交わしながら、他愛ない話を続けていた。
アルコールがまわり、ほろ酔い気分になって来た頃、ジュリアンがやや声をひそめてハリーに話しかける。



「なぁ、あんたは占いとか予言みたいなものって興味あるか?」

「占いに予言?
まぁ、まったく信じないってわけじゃあないけど、そんなに信じるってこともないな。
占いがどうかしたのか?」

「あんたが信じるかどうかはわからないが…
実は俺は、昔から不思議な…よくいう霊感みたいなものがあってな。
たまに他人の未来がわかることがあるんだ。」

「未来が?じゃあ、もしかしたら俺のもわかるっていうのか?」

ハリーは、酒を飲みながらその言葉に笑っていた。



「あぁ…俺には感じるものがあった。
あんた、好きな女がいるだろう?
あんたは近いうちにその女と結婚して幸せになる。」

ハリーは、グラスを持った手を止め、ジュリアンの方をじっとみつめる。



「……残念だったな。
俺には好きな女なんていない。
あんたの予言は大はずれだ。」



(畜生!ハリーの奴、本当に素直じゃないだから!
ようし!…それなら…)



「そうかい?そいつはおかしいな。
俺の予言は今まではずれたことがないんだが…
だが、未来ってやつは確かに選択肢一つでコロコロ変わる不安定なもんでもある。
ほんの少しなにかを変えたことで、違う未来になってしまうことがあるからな。
ちょっと待てよ…」

ジュリアンは、ハリーの顔を凝視し始めた。



「なんだよ、気味が悪いなぁ…
そんなに見るなよ。」

「……じゃあ、あんた、近々この町を出る予定はあるかい?」

ジュリアンのその言葉に、ハリーは明らかに動揺していた。
しかし、その態度とは裏腹に口をついて出た言葉は違っていた。



「いや…そんな予定はない。」

「そうか…それなら良いんだが…」

「良いって…何が良いんだ?」

「あんたが、この町を出て行ったら、ある女性が…とても悲しい思いをする。
その女性は、好きでもない男と結婚し…
しかし、その相手の男は皆が思っていたような良い人物ではなく、冷酷非道な男なんだ。
女性は夫となったその男にひどい目に遭い、苦しんだあげくそのことを誰にも言わないままに自ら死を選んでしまう…」

「そ、そ、そんな!
そんな馬鹿なことがあるもんか!
ケネスさんは、困ってるマージの家にお金を貸してくれるような優しい人だ!」


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