16
そういってジャンはジュリアンの身体を抱き締めた。
「…そうだったのか、あそこではそんなことが…」
『おおっ…!』
「どうした?」
「えっ?何がだ?」
「あ…あぁ、何でもないんだ…」
ジャンが去ってから、ジュリアンはエレスに尋ねた。
「さっきはどうしたんだ?」
『それがだな…』
「何があった?」
『……いや…なんでもない…』
「何がなんでもないだ!
なんかあったんだろう!
言えよ!」
『…まぁ、落ち着け。
話すさ…そのうちにな…』
「…………」
こうなるとどんなに詰め寄ってもエレスが語るとは思えない…
(あぁ、いいさ、勝手にしろ…)
小さな溜め息をつきながら、ジュリアンは歩き始めた。
エレスがそのうち話すといったことはどんなことなのか…?
これから、どんなことが起きるのか…?
石の精エレスとジュリアンの旅は、今、始まったばかり…
- 19 -
しおりを挟む
コメントする(0)
[*前] | [次#]
トップ 章トップ