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「ラリー…間に合わなかったのか…」

不意に聞こえた声に、ラリーは振り返る。



「あぁ、ジュリアンか…
残念ながら、間に合わなかった…」

「そうか…
でも、あんたの気持ちはしっかりと伝わってるぜ。」

「……俺の気持ち…?」

「あぁ…奴はもう二度とあんな馬鹿なことはしねぇ。
あんたに見捨てられたんじゃないってわかったんだからな。」

「ジュリアン、何のことを言ってるんだ?」

ラリーが不思議そうな顔でジュリアンをみつめた。



「良いんだ、良いんだ。
とにかく、帰ろう…」

「……そうだな。」

ラリーは立ち上がり、二人はラリーの家を目指して歩き出した。







「なんで、そのことを知ってるんだ!?」

ラリーは、オムレツを刺したフォークを手にしたまま、その動きを止めた。



「なんでって…そりゃあ、わかるさ。」

祭りに匿名の寄付金をしていたのは、やはりジュリアンの思っていた通り、ラリーだった。



「いや…まず、なんであんたは祭りの寄付金がなくなったことを知ってるんだ?」

「なんでって、そりゃあ、ディックが死んだ時…」

「ディックが死んだ…?ジュリアン…何言ってんだ?」

「ち、ち、違うんだ!
きっとあんたはディックが死んだ後もそういうことは言わないんだろうなと思ってさ…」

「そりゃあ、俺は一生言うつもりはなかったけど、それにしてもジュリアン、なんであんたは…」

「あーーーーっ!」

ジュリアンは一際大きな声を上げた。



「いけねぇ!
忘れる所だった!
スージー、これ、もらってくれよ!」

ジュリアンは、ペリドットの原石を差し出した。



「まぁ、何なんですか?石?」

スージーは手渡された石をじっとみつめる。



「そうなんだ。
そいつは、ペリドットって言って、太陽の石なんて言われてる石なんだ。
ディックのことはショックだったかもしれないけど、これは持ち主を明るい気分に導いてくれる石だから、信じて持っててくれよ。
それと、この石は夫婦仲を良くしてくれる石でもあるんだ。」

「そうなんですか…!?それはありがとうございます。
そういえば、ペリドットって、もしかしたらおばさんがいつも首にかけてたあの石じゃないかしら?」

「覚えてたのかい?」

「ええ。とても綺麗な石だったんだもの。」

「こいつも、磨けばものすごく綺麗な色が出るぜ。
旦那さんとペアの指輪にでもしてもらったらどうだ?」

スージーは、微笑みながら頬を赤く染めた。


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