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『そんなこと…
仮にそうだとしても、それほどうまい具合に戻れるはずがない。
思い通りの時間に戻る事なんて不可能に近い!』

「馬鹿言っちゃいけないな!
おまえ、忘れたのか?
この前、おまえが俺に言ったんだぜ。
『戻り方がうまくなった』ってな。
そうだ、俺はうまくなったんだ。
今度だって、絶対にうまくやってやる!
失敗なんてするもんか!!」

『……そして、スージーをまた危ない目に遭わせるのか?』

エレスの冷やかな視線がジュリアンを捕える。



「ディックはもう二度とあんなことはしない!」

『そんなことがなぜわかる?』

「俺が命に代えても絶対にそんなことはさせないからだ!!」

叫ぶようにそう言い残し、ジュリアンは部屋を出て夜の町に駆け出した。



『ジュリアン、どこへ行くつもりだ?』

「詰所に決まってるだろ!」

『どうしてもやるつもりなのか?』

「あたりまえだ…!!」

ジュリアンのその決意が変わらない事は、エレスにもすでにわかっていた。



『そうか…なら、好きにするが良い…』

そう呟き、エレスは姿を消した。







(ディック…待ってろよ!
絶対に…俺は絶対におまえを助ける!
ラリーやスージーのためにもおまえは死んじゃいけないんだ!!)

詰所の傍に着いたジュリアンは物陰に潜み、エレスチャルを握り締めて一心に祈った。



(エレスチャル…頼む!
どうか…どうか、ディックが無事な時に戻してくれ…!
もう一度だけ俺にチャンスを…!
どうしてもディックを救いたいんだ!!)





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