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『ジュリアン、起きろ。
そろそろ夜が明けるぞ。
ラリー達が出てこないうちにここを離れた方が良いのではないか?』

「う…うぅん…もうそんな時間か…」

瞼をこすりながらなんとか目を覚ましたジュリアンは、大きく伸びをした。



『昨夜は何事もなくて良かったな。』

「そうだな。
だが、ここで気を抜くわけにはいかない。
スージーは仕事はもうやめたのかな?」

『ジュリアン、ここで見張るよりも、自警団の詰所に行ってみたらどうだ?
昨夜は幸い誰にも怪我はなかったとはいえ、ディックはスージーを殺そうとしたのだぞ。
もしかしたら、大きな町の牢獄に送られるのではないか?』

「そうか…!
じゃあ、早速、自警団に今後のことを聞きに行ってみよう!」

ジュリアンと、彼以外には見えないエレスは、自警団の詰所へ向かった。







「何かあったのか?」

ジュリアンは昨夜出会った男をみつけ声をかけた。
詰所には、数人の男達が慌しく出入りを繰り返し、ただならぬ雰囲気に包まれていた。



「あぁ、あんたは昨夜ラリーの家にいた…実は、ディックの奴がな…」

男はジュリアンの耳に口を寄せ、小さな声で囁いた。



「なんだって!ディックが…!」

ジュリアンの顔色がみるみるうちに青ざめていく…



「医者の診立てによると、ついさっきのことだろうって話だ。
手は尽くしたんだが、やっぱりだめだったんだとよ…
もう少し発見が早けりゃ、もしかしたら助かったかもしれないが…
これもディックの運命だったんだろうよ…」

ディックはベルトに首をかけて死んでいたということだった。
ジュリアンが立ち尽くす中、担架に乗せられ白い布をかけられたディックが運ばれて行く…



「ディック…なんでこんなことを…」

呆然と見送るジュリアンにエレスの冷静な言葉が投げかけられた。



『奴は、自分自身の気持ちを止められない事をわかっていたのだろう…
生きていたらきっとまた自分はスージーに酷い事をしてしまう…
そう考えて、自分で決着を着けたのだろうな。』

「そんな…それじゃあんまりディックが可哀想じゃないか…
そりゃあ…確かにあいつが悪いんだけど…」

『ディックはきっと自分で納得してやったのだ…
……それに、ジュリアン…
もしディックが生きていて、今後昨夜のようなことがあって、スージーが命を落としたらどうするつもりだ?』

エレスのその言葉にジュリアンは何も言い返すことが出来なかった…


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