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「ベルッツ様に手配してもらってはいかがです?
何か特別な品を輸入することにしてですね…その商人ということで乗り込むのです。
ラルフィンは、確か、西側の国との取引がありますよね?
そのどこかに移動し、そこから船に乗り込んで…」

「確かに取引はあるが、そう簡単にはいかないぞ。
ラルフィンだけの問題ではないからな。
商人の身元については他の東側の国の者達も常に目をひからせている。
取引は何か月も前から決まっているし、臨時での取引等いまだ聞いたことがない。
リンガーならともかく、うちみたいな小国の言うことを他国が聞いてくれるかどうか……
そうするためには、きっと、真実を…ディオがかどわかされたことを話さなくてはならなくなる。
でも、それには大きなリスクを伴うからな。」

「そうですね…
ディオニシス様のご事情を話せば話は早いのでしょうが、それを知られることはやはり危険です。」

ウォルトは、そう言いながら何度も頷いた。



「ねぇ、ウォルトに船の中に運んでもらって密航するってことは出来ないの?」

「ディオ…港には何か所の結界があると思ってるんだ?
それはどう考えても無理だ。」

「そう……だったら、やっぱり結界をくぐるしかないんだね。
……うん、わかった。頑張るよ。」

ディオニシスは、心の動揺を押し隠すように、健気にも無理して笑顔を作った。
二人は、当然、ディオニシスの本心には気付いており、気まずい雰囲気の中、苦い笑いを浮かべた。


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