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キーファの興奮とは裏腹に、他の者達も、キーファの言うことをあまり信じていない様子で、そのことで、彼はすっかり気分を壊してしまった。
「兄さん、とにかく私のことは心配しないで。
帰れるようになったら連絡するから…」
「妹をいつまで働かせるつもりなんだ!」
「兄さん、失礼よ!
ロダンさんは、今となってはとても貴重な絆の護符を譲って下さったのよ。
そのおかげで兄さんは……」
「あぁ、わかってるさ!」
キーファは苛々した様子で、そう言って、リアナを睨み付けた。
「リアナに心配はありゃあせんよ。
さっきも言った通り、会いたい時にはいつでもここに来れば良い。」
ロダンは、穏やかに微笑む。
「じゃあ、そろそろ帰ろう。
ここにいても仕方なさそうだ。」
明らかに不機嫌な様子のキーファはそう言って立ち上がった。
アレクは困ったような顔をしながら、キーファと同じように立ち上がる。
「それじゃあ…また来るよ。
リアナ、元気でな。」
「あ、はい。
アレクさん、本当にどうもありあとうございました。」
アレクはキーファの手を取り、その場から姿を消した。
「では…」
「おぬし……」
ロダンがウォルトの傍に近付き、その耳元で呟いた。
「……おぬしはどういった者なのじゃ?
おぬしの力は、どうも質が違う。」
ウォルトの瞳が一瞬大きく見開かれた。
「そのことは、またいずれ…」
「そうか……わかった。」
ウォルトは、ロダンに曖昧な微笑みを残し、その場から消え去った。
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