「では、皆さんは元々のラーフィンの方ではないんですか?」

「はい。私も詳しいことは知りませんが、私が引き取られた頃にどこからか移り住んだらしいです。
キーファもまだ小さかったので、当時の記憶はほとんどないようですが…」

スピロスと話すリアナの言葉に、部屋にいた皆が耳を傾けた。
ラーフィンのことを詳しく知る者は意外に少ない。
だからこそ、リアナの話は皆にとっても興味深いものだった。
それは、ラーフィンが陸から離れた小島であり、しかも、かなりの距離がある上に定期船は数が少ない。
そこまでして行く程の大切な用事があるか、変わり者でなければ、退屈なだけの楽園にわざわざ行くことはない。
だからこそ、ラーフィンの内情は外に流出することも少ないのだった。



「そういえば、ラーフィンには魔導師が少ないって訊いたことがあるんだけど、そいつは本当なのかい?」

「おっしゃる通りです。
理由はよくわかりませんが、ラーフィンには魔導師はほとんどいないようです。
私の住んでいた地域には、多分、誰もいなかったと思います。
首都には少しいたようですが…それも、噂で聞いただけです。」

「へぇ、そんなこと、俺、知らなかったぞ。」

「僕もです。
不思議ですね。」

「ラーフィンは、元々、どこかからか来たごく少数の人間から増えて行って出来た国だって伝説があるからな。
たとえばだな…海に出た漁師の船が難破して、当時まだ無人島だったラーフィンに流れ着いたとするよな。
その者達が魔導の力を持たない者だったとしたら…」

「アレク、漁師だったら男性ばかりの筈じゃないですか。
それじゃあ、子供は出来ませんよ。」

「あ、そりゃそうだな。」

きょとんとした表情を浮かべるアレクに、部屋にいた四人の頬は緩んだ。



(……笑うとけっこう可愛いんだな。)

リアナから大人びてやや近寄り難い雰囲気を感じていたダニエルは、彼女が見せたあどけない笑顔にその印象を変えた。


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