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あれから半年が経った。
時々、気紛れのように届く彼女の便りには、忙しいながらも充実した毎日を送っていると書かれている。
後で知ったのだが、あのちょうど前日、彼女は恋人と些細な事で大喧嘩したらしい。
別れるか別れないかの瀬戸際まで立たされ、辛さに堪えられなくなった彼女は、ついに実家に舞い戻ってしまったという。
傷付いていた彼女。
もしかしたら、あの状態であれば、彼女を再び自分の元へと引き戻せたかも知れない。
しかし、そんな事をして彼女を手に入れても、結局は虚しさだけが残るだけだ。
あの時の言葉に偽りはない。
僕は、彼女が幸せであればそれでいいのだ。
だが、未だに気になる事が一つ。
あの時、彼女は天の川に何を願っていたのだろう。
――でも、知りたくないという気も……
僕の気持ちは複雑だった。
どのみち、いずれ、彼女から教えてくれるだろうか。
そう思いながら、僕は空を仰いだ。
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