「ん……」
 いつの間に眠っていたのだろう。
 ジュンは、公園のベンチの上で目を覚ました。
「あの子は……!」
 勢い良く身体を起こし、辺りをぐるりと見回す。
 公園の雰囲気はそのままだ。
 しかし、あの少年の姿はおろか、気配すら全く感じなかった。
「夢……だったの……?」
 まだ完全に覚めきっていない頭で考える。
 夢として片付けるには、あまりにもリアルだった。
 彼を包み込んだ感触も、身体がしっかりと記憶している。
「夢じゃ、ないよね。きっと……」
 ジュンは両手で自分の身体を抱き締める。
 少年の温もりを想い、強く生きられるようにと願いながら。


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