「ねえ……」
 すっぽりと包まれていた少年が、静かに口を開いた。
「あなたは僕と違って、後戻りが出来ると思うから。
 幸い、『死にたい』気持ちはそれほど強くなさそうだしね」
「……」
「もう、『消えたい』なんて考えちゃいけないよ。
 今は無理でも、いつかきっと、あなたを分かってくれる人は必ず現れるから……。
 まあ……僕が言っても説得力がないかもだけどね」
 少年はそう言うと、ジュンの身体をそっと離した。
「日が、暮れてきたね……」


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