彼と私は、近くの公園までやって来た。
「うーん。やっぱり外の空気は最高だ!」
 彼はそう言いながら、深呼吸を繰り返す。
 確かに気持ちが良かった。
 陽気もさる事ながら、この公園は緑が多いから、心が洗われる。
 あのまま家に籠もっていたら、こんな風に感じる事もなかっただろうから、無理矢理でも外に連れ出してくれた彼に、ひっそりと感謝した。
「なあ、ルカ」
 目の前の大木を仰ぎながら、彼は言った。
「ちっちゃい頃さ、二人してこの木に登って遊んだよな。どっちがどれだけ速く登れるかって……」
「ああ。そんな事もあったっけ……」
 私も一緒に眺めながら、幼い日の記憶を辿る。
 あの頃の私は、女の子が好むままごとや人形遊びより、外で駆けずり回る事が大好きだった。
 幼なじみの彼と公園に来て、彼が言った通り、木登りをしてあちこちに傷を作り、またある時は、服を泥まみれにして遊び、帰ってから互いの親に叱られるという日々を繰り返していた。
 今となっては、どれも懐かしくて愛おしい想い出ばかりだ。


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