ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
魔法使いの沼地32


「そういえば、君は明るいうちも僕が僕のままで見えるんだよね?
レヴィの歌にも全然反応しない。」

「当たり前だろ!
なんたって、俺は特別な猫なんだからな。」

ラルフはそう言ってリオにいつもの笑顔を見せた。
そんなラルフに、リオも思わず顔を緩ませる。



「特別かぁ…
ねぇ、ラルフは特別なことをいやだって思ったことはないの?」

「……おまえらしい質問だな。
リオ…動物ってもんはな、人間みたいにいろんなことを考えないもんなんだ。
特別になったのなら特別な自分を受け入れるだけなのさ。
その理由を探ろうとしたり、それをいやだと考えたりしなければ、人生は、ただ、楽しいだけだぜ。
人間はいろんなことを考えすぎるから、楽しめないんだ。
……なぁ〜んて言ってるこの俺も最近はなんとなく人間みたいに余計なことを考えるようになって来た。
あ〜あ、いやだいやだ。」

ラルフは人間がするように、何度も首を振って見せた。



「そんなことないさ。
君は十分猫らしいと思うよ。
君を見てたら、僕もどうせなら猫に変身したかったって思う程だよ。」

「おまえには猫なんてとても無理だな!
猫だって、それなりに大変なんだから!
……ところで、リオ、昼間はあそこの山ん中で時間を潰すか?」

ラルフはそう言って、少し先に見える山に顔を向けた。



「そうだね…」



薄暗かった空はすでに明るくなり、青い空が広がっていた。
リオの方でうつらうつらしていたレヴィもようやく目を覚まし、小さな瞳でぼんやりと空をみつめていた。



「おはよう、レヴィ。
すぐにごはんにするから、もう少しだけ待ってておくれ。」

レヴィの気配に気付いたリオは、優しく声をかける。



昼間は人気のない場所に身を潜め、暗くなると町へ向かう。
こんな暮らしももう三年…
魔法使いに関する情報はまるで見つかってはなかったが、それでもリオはこの旅をどこか楽しんでいた。


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