ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
魔法使いの沼地28






「どうだ?
少しは落ちついたか?」

ラルフの言葉に、リオは鼻をすすりながら頷いた。



「おまえの気持ちはわかるけど……
そんなことは、愛する者を失った者なら、みんな、考えることだ。
『もしも、あの時ああしていたら…』
でもな、そんなことどれだけ考えたって、何も変わりはしない。
……酷なことを言うようだが……死んだ者は生き返ることはないんだ…」

「そ…そんなこと…わかってる…
で、でも、僕の場合はちょっと違う…
あの時、あの沼にマリアンの身体を浸したままにしてたら……もしかしたら……」

リオは、唇を噛み締め、その肩を震わせた。



「あ〜あ…また泣き出しちまった…
おいおい、いいかげんにしろよ。
さっきも言っただろ?
おまえの妹はもう死んじまったんだ。
それは変えようのない事実だ。
良いか?もしも、その時におまえの考える通り、妹の亡骸を沼に沈めたままにして何かが起こったにしても、何も起こらなかったにしても、今からではどうにもならないってことなんだよ!」

「だから……!
だから、僕は……」

リオは、俯いたまま言葉を失った。



「だから、妹の死はおまえのせいだっていうのか?
……馬鹿野郎!
おまえは神様か何かのつもりなのか?
人間の生き死にを決められるのは神様だけだ!
おまえの妹の死は、仕方のないことだったんだ。」

その言葉に、リオは再び大きな声を上げて泣き叫ぶ…
眠っていたレヴィが、一瞬目を覚ました程の大きな声を上げて……


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