ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
魔法使いの沼地27


「そうみたいだな。
俺はここにいる間に、ここの魔法使いやここを訪ねて来た魔法使いの知り合いがしゃべってるのを聞いていろんなことを知ったんだけど、沼に落ちた者の変化についてはしゃべってるのをきいたことがないからな。
それに、今まで沼で溺れて死んだり道に迷って死んだ者がいたって話は聞いたけど、おまえみたいな変化が現れてそのまま無事に外へ出て行ったって者の話は聞いたことがない。
きっと魔法使いもおまえみたいな奴がいるなんてこと、知らないと思うよ。」

「き、君はここの魔法使いに会ったことがあるのかい!?」

「会ったっていうか…見た事はあるよ。
でも、向こうは俺のことをただの猫だと思ってるけどな。
俺がしゃべれることを知ったら、ここを追い出されるかもしれないし、警戒されるかもしれないからな。」

「僕、実は、魔法使いを探しにここに来たんだ。
この身体の異変を、魔法使いならなんとかしてくれるんじゃないかと思って…
確かに、君の言う通り、僕の異変は悪いことばかりじゃないかもしれない。
でも、やっぱり…僕は普通の人間に戻りたい…」

リオは俯き、消え入りそうな声でそう呟いた。



「そういうもんかねぇ…
俺はそんなこと思ったことないけどな…
第一、俺はあの時、病気で死にかけてた。
たまたま沼に落ちなけりゃ、俺はあのまま死んでただろうからな。」

「そうだね…そういうことなら……」

リオの言葉が不意に途切れた。



「リオ……?
どうかしたのか?」

「も…もしかしたら、あの時……」

リオは両手で頭を抱えてその場に顔を埋め、大きな叫び声を上げた。



「リオ!どうしたんだ!
あの時っていつのことを言ってるんだ!?」

ラルフは、リオのただならぬ様子に、心配そうに彼の周りを右往左往する。



「ぼ…僕が……
僕が、マリアンを殺してしまったんだーーーーー!!」

リオの悲痛な叫びが静かな沼地に響き渡った。


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