ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
魔法使いの沼地25


「そ、そ、それはどういうことなんだい!?」

「つまりだな…
ここは、魔法に使う力のようなものを培養する沼地らしいんだ。
この場所が本来持つ力、そこに加えて月の力を貯める貯蔵庫のような場所だということだ。
おまえさん、月には特別な力があるって話…聞いた事はないか?」

「……特別な力かどうかわからないけど…
妹はよく月に向かって願い事をしていたようだよ。
妹は月がすごく好きだったんだ…」

「そうだよな。
人間達の中には月に願いをかけるとその願いが叶うって信じてる者も多いようだが、それもあながちでたらめってわけでもないらしいぜ。
この沼地の主である魔法使いは、ここの沼に月の力を貯め、それを薬や術や道具に注ぎこんで商いをしてるらしいんだ。
だから、魔法使いはいつもここにいるわけじゃない。」

「そうだったのか…だから、ここには家らしいものもないんだね。
……あ、それで、青い月のことは?」

「満月には特別強い力が宿ってるらしいんだが、満月の中にも何年かに一度、ブルームーンというものがあって、その満月の力は特に大きいらしいんだ。
俺花ここに来た時、病気で死にかけていた。
もう長い間、食べる物も食べず、ふらふらと歩き回ってるうちにここに来てたんだ。
そして、俺は、沼に落ちた。
水の中に落ちた時にはもうだめかと思ったが、俺は必死になって沼の縁に這いあがった。
その後、気を失ってたみたいなんだが、目が覚めた時、俺は今までとは体調がまるで変わってることに気が付いた。
不快な症状は消え去り、俺は全身に力が漲っていることを感じたよ。
その後、俺は相変わらずこの当りに住み付いていたんだが、ある日、沼に立ち寄った人間の言葉がすべてわかることに気が付いた。
今までだって、ほんの少しはわかってたんだが、そんなもんじゃない。
一から十まですべてはっきりとわかるんだ。
こんなにもわかるってことは、もしかしたら、俺は人間の言葉も話せるんじゃないか?
そんな馬鹿なことを思いついて、試しに、俺は藪の中からその人間に声をかけてみた。
人間には俺の言葉がはっきりと伝わったようで、必死になって俺のことを探してたよ。」

ラルフはその時に光景を思い出すかのように、短い鼻に皺を寄せて笑った。


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