ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
魔法使いの沼地23


「も…もしかして、魔法使いなのか!?」

「違うに決まってんだろ。
……とりあえず、こっちに来いよ。
そんな所にいたんじゃ、話がし辛い。」

「……だけど…僕は…」

「いいから来いって!!」

リオの言い訳も聞こうとせず、強い口調でそう言った何者かの言葉にリオは仕方なく従った。



沼の縁に戻ったリオは、目を凝らしランプの横の者を一瞥すると、やがて、すぐにあたりを見渡した。



「どこにいるんです?」

「誰を探してる?」

その声に、リオの背中はびくんと反応する。
今、声の聞こえた足元に視線を落とし、リオはそこにいた黒猫と黄色い鳥をじっとみつめた。



「……まさか…今の声は……」

「俺だが、それがどうかしたか?」

リオは目と口を大きく開き、その視線は黒猫に釘付けになっていた。



「なんだ、その顔は…
猫がしゃべるのがそんなに珍しいか?」

「あ、あ、あ、当たり前だろ!」

「……それもそうだな。
俺も、俺以外に人間の言葉をしゃべれる猫に知り合いはいない。」

猫はそう言って、鼻に皺を寄せた。



「ねぇ……もしかして、それ、笑ってるの?」

「なんだよ、俺の笑顔が気に入らないってぇのか?」

「そ、そうじゃないよ…
でも、しゃべれる猫って…そうか、君は魔法使いの飼い猫なんだね!?」

黒猫は黙って首を振る。



「俺は、誰にも飼われちゃいない。
むしろ、飼い主の方だな。
こいつは、俺の友達でもありペットみたいなもんだからな。」

そう言いながら黒猫は背中の方に顔を向けた。
黒猫の背中には不自然な格好でしがみつきながら眠る黄色い鳥がいた。



「君は、猫なのにこの子を食べないんだね。」

「当たり前だろ。
どこに自分の友達やペットを食べる馬鹿がいる!」

「そ、そりゃあ、そうだけど…」

「くだらないことを言ってないで、向こうに行かないか?
こんな所にいたんじゃ、さっきみたいに誤って沼に落っこちてしまうぜ。
ま、今日は普通の満月だから大丈夫だが、これが青い満月だったら大変なことに…」

「青い満月…大変なこと!?
それはどういうことなんだ!
教えてくれ!」

リオは、黒猫の言葉に激しく反応した。


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