ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
魔法使いの沼地20


「そうだったのですか…
あの沼地には昔から良くない噂があります。
あなたのような現象が起きたという話は聞いたことがありませんが、魔法使いがみつからないことに絶望して自ら命を断ってしまわれる者や、疲れのあまり、誤って沼地にはまって死んでしまう者もいたと言われています。
ともかく危険な場所であることは間違いないのです。
それに反して、魔法使いに望みを叶えてもらえた者の話など聞いたことがありません。
おそらくそんな者は最初からいないのです。
それなのに、やはり今でもあそこへ行こうとされる方はたまにいらっしゃる…
ご本人もそれだけ必死なのでしょう…
そのお気持ちはわかりますが、そんなことで問題が解決するわけがないのです。
私はあそこへ行こうとされる方には、そのことを話し、行くことのないように諭しているのですが、あなたはいとも簡単にそんな所には行かないとおっしゃった。
私はその言葉を信じ、あなたをお引き止めしなかった…
そのせいで、あなたはそんな呪いにかけられてしまったのですね。
……申し訳ありません。」

「何をおっしゃるんです、神父様。
悪いのは僕なんです。
あなたは何一つ悪い事などされてはいません。
……虫の良い話ですが、神父様にこの呪いを解いていただくことは出来ないのでしょうか?」

神父は俯き、首を振った。



「残念ですが、あなたにかけられたものは私達が祓えるものとは性質が違うもののようです。
魔法使いにかけられた呪いはその術をかけたものにしか解けないと聞きますが…
ですが、あなたは魔法使いに直接呪いをかけられたわけでもないのですね?
つまりは、あの場所にそのような呪いがかけてあるということなのでしょうか?」

神父は頭を抱え、何かを一心に考えるように目を閉じた。



「では、この呪いを解くためには僕はどうすれば…やはりもう一度あの場所へ行ってみるしかないのでしょうか。」

「いけません!
あそこは危険な場所です!」

「でも、神父様…
だったら、僕は一生このままでいるしかないのでしょうか…?」

神父は、リオの肩に優しく手を置いた。



「リオさん、そんなことはありませんよ。
どんなことにも必ず解決の道はあるはずです。
ともかく結論を急がないことです。
まずは……あなたのおっしゃるおかしな現象を私に確認させて下さい。」

「えっ!……しかし、神父様…」

「大丈夫です。
私が何年神にお仕えしているとお思いですか?
私はそんな幻にやられはしません。」

そう強く言われても、リオの心から不安が取り除かれることはなかったが、神父は何度も頷き、自分の自信を見せつけた。

やがて、時が流れ、一番鶏のけたたましい鳴き声と共に朝日が顔をのぞかせた。


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