ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
24


次の朝、目が覚めたら、僕の傍に朱花はいなかった。

顔を合わせるのも照れくさいけど、仕事に行かないわけにもいかない。
僕は顔を洗いでかける準備を始めた。



「翔…起きているか?」

「あ、桂葛さん…どうしたんですか?」

「すぐに支度を…」

「え…?」



僕はわけもわからないまま、神殿に連れて行かれた。
主様に会うのかと思ったら、神殿の小部屋に通され、今日は一日ここで過ごすようにと言われた。
部屋には、豪華な料理やお酒も用意してあった。



(退屈だな…)



テレビやネットのない生活には慣れたとはいえ、ひとりだとやっぱり退屈だ。
僕はその場に横になり、そっと目を閉じた。
最初に頭に浮かんだのはやっぱり昨夜のことだった。
思い出した途端に顔が熱くなる。



どうして朱花はあんなに思い切ったことをしたんだろう?
そりゃあ、僕も朱花のことは本気で好きだから嬉しかったことは事実だけど…
でも、もしも、この先、暮らす場所を選ぶとしたら……



答えはすぐには出なかった。
もちろん帰りたい…!
元の世界に戻りたい!
でも、朱花と離れるのもいやだ。
それに、もしの昨夜のことがバレたら、もしかしたら、朱花は村八分にあって辛い想いをすることになるかもしれないんだから。
それと、もう一つ心配なことがあった。
僕は自分の中に眠る竜の力を目覚めさせてしまったんだ。
元の世界に戻って、もしもその力を発動してしまったら、僕はどうなるんだろう?



(どうすれば良いんだ?)



考えれば考える程、不安は大きく広がり、僕はそこにあったお酒を飲んだ。
今までは出来るだけ考えないようにしていたこと…だけど、今日はそれを真正面から考えなければならない。
その辛さに、僕は飲めないお酒を無理して飲んだ。



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