ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
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「いよいよ明日だな。」

「そうだね。」



空に浮かぶ月はほぼ丸い形になっていた。
その晩は、朱花が一緒にごはんを食べようとうちに来て、二人っきりでごはんを食べた。



「翔…翔の許嫁ってどんな人なんだ?」

「え…う、うん、普通の人だよ。」

存在もしない人のことだから、なんと言っていいのかわからず、僕はそんな適当なことを答えた。



「そんなんじゃわからない。
綺麗な人か?
いくつなんだ?
どういう家の娘なんだ?」

「そ、それが…勝手に親が決めただけだから、ほとんど知らないんだ。
会ったこともない。」

「会ったことも!?
その人に関心はなかったのか?」

「う、うん。どうでもいいっていうか……」

「おまえ…そんなことをいいながら、実はそのことがいやで、竜の力を失ったんじゃないのか?
いやなのに、いやだって言えないから……」

「さ、さぁ、どうだろうね。」

朱花は、そんな僕を見て、小さな溜息を吐いた。



「おまえって本当にはっきりしないっていうのか…なんだか変わった奴だよな。
なんで、そんな奴のこと、好きになったんだろう…」

「ごめんね、朱花。」



考えてみれば確かにおかしな話だ。
朱花みたいに可愛くてしっかりした女の子が、僕みたいにぱっとしない男を好きになるなんて。
朱花の所には若い大工さんもたくさん来てるし、その中にはまだ独身の人だっているっていうのに…



「なんで謝るんだよ。」

「え…だって…なんか申し訳なくて……」

「翔…もう一度聞かせてくれ。
この世で一番好きなのは、誰だ?」

「そりゃあ、朱花だよ。」

「その言葉に嘘、偽りはないな?」

「もちろんだよ。」

「そうか……じゃあ、目をつぶれ。」

「え…?う、うん。」



言われるままに目をつぶると、僕の唇に柔らかなものが重なった。



それがなんだったのかは、いくら晩生な僕にでもわかった。



「朱花……あ……!」

目を開けると、朱花が僕の目の前で服を脱ぎ始めていて……



「な、なにやってるんだよ!
そんなこと、しちゃだめだろ!」

以前、とても良い雰囲気になって、朱花にキスしようとしたことがあった。
でも、その時は朱花に思いっきり頬をぶっ叩かれた。
なんでも、竜の世界では、夫婦の契りを交わした相手としかそういうことはしちゃいけないらしく、法に触れるってわけじゃあないけど、そういうことをした人は淫らな人として見なされて、村八分のような扱いを受けるって聞いた。
だから、朱花と僕はずっとプラトニックな関係だったのに、どうして……



「翔…私を抱いてくれ。」

「な、なに言ってるんだよ!
そんなことしたら、君は……」

「私は真剣におまえを愛してる…
だから、どんな目にあったって構わない!」

「だ、だめだって!」



理性では絶対にだめだってわかってるのに、裸の朱花を見てしまったら、僕の理性は一瞬でどこかに吹き飛んだ。



「朱花……」

「翔……」



その晩、僕は朱花と身も心も結ばれた。


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