ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
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「さぁ、もう一度だよ!
気持ちを集中して!」



次の日から、朱花のトレーニングはますます厳しさを増した。
あの時、竜になれたのは、無意識だったから、逆に集中するとなかなかうまくいかない。
とはいっても、集中しないと出来ないような気もするし、うまくいったりいかなかったりを繰り返し、僕が自在に竜になれるようになったのは、半年ほどが過ぎた時だった。



僕は完全にそれをマスターした。
いつでもどこでも、竜になりたいと思ったら竜になれるし、高い空を泳ぐことももう怖くなくなった。
もちろん、人間に戻ることも簡単に出来るようになった。
それと同時に、桂葛さん達の使う術も使えるようになった。
火を灯したり、風を巻き起こしたり、まるで魔法使いのようなことが僕は出来るようになっていた。



***



「早いもんだな。
おまえがここに来て、もう三年にもなるんだな。
ここに来た時より、顔つきも大人になったな。」

「本当ですか?
まぁ、僕ももう18ですからね。」

「以前は、俺の家にばかり泊まりに来ていたが、最近は一人の暮らしにも慣れたみたいだな。」

「はい、やっと慣れました。」

とはいえ、今でも晩御飯は桂葛さんと一緒に食べることが多いんだけど。



「ところで…少し聞きたいことがあるんだが……」

「なんですか?」

「朱花のことだ。」

「朱花のこと……」

桂葛さんの言おうとすることには察しが付いた。



「朱花のことが好きなのか?」

「……はい。」

やはり思った通りだった。



「そうか……おまえの事情は話してないだろうな?」

「はい、それは決して。」

桂葛さんは、僕の目を見据えて深く頷く。



「これからも決して話してはいけない。
それと、里のことも、俺に口止めされていると言っておけ。」

「はい、そうしています。」

最初はそういうことを良く訊ねられた。
答えないことで、朱花の機嫌が悪くなることもあったけど、それでも僕は決して話さなかった。
そのうちに朱花はそう言うことを訊かなくなった。
僕がどういう人でも、僕のことが好きだと言われた時は、本当のことをすべてぶちまけたい気持ちになったけど、やっぱりどうしても話せなかった。


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