ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
19


信じられない想いだった。
僕に、こんな力があったなんて……



『翔、ありがとうな。
さっきは私を守ろうとしてくれたんだよな?』

『え……あぁ…あの時は無我夢中で……』



そうか…朱花を守りたいって思ったことで、僕の中に眠ってた力が目覚めたってことなんだな。







「そうか、それは良かったな。」

その晩、僕はまた桂葛さんの家に泊まって、竜に変身できたことを話した。



「びっくりしました。
まさか、僕には竜の血なんて混じってないと思ってたから…」

「なぜだ?」

「え…だって、僕は両親の子供で、竜神様が一度は死んだ僕を生き返らせてくれたんでしょう?」

「そんな風に思ってたのか…
そうではないと思う。
もし、そうならば15歳になるまでとは言われなかっただろう。」

「えっ!?それじゃあ、僕は両親の子ではないということなんですか?」

「いや…もちろんご両親の子供だろう。
ただ、おまえの本来の魂は天に召された。
おそらく、竜神様は、その代わりにお前の身体に竜神族の魂を入れられたのではないかと思う。」

「竜神族の…魂……」

つまり、身体は両親の遺伝子を受け継いで出来ていて、魂が竜神族のものってことなんだろうか?
理屈ではわかっても、いまひとつ納得は出来ないけど…
でも、僕が竜に変身できたってことは、そういうことなのかもしれない。



「それで、どうだった?
空は楽しかったか?」

「ええ、そりゃあもちろん。
でも、なかなか人間の姿に戻れなくて……」

「面白いもんだな。
俺達にとっては息をするのと同じようにごく自然なことなんだが…
まぁ、これから練習すればきっとうまく出来るようになるさ。」

「そうだと良いんですけど……」

そのうち、桂葛さんからは穏やかな寝息が聞こえて来たけれど、僕は今日のことで神経が高ぶってたのか、なかなか寝付くことが出来なかった。


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