ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
13


酷くショックな気分だった。
だって、竜なんてものは伝説の生き物だと思ってたのに、実は実在してて、しかも、その竜と人間の間にそんな深い関わりがあったなんて…



「そんなに驚いたか?」

「え…そ、そりゃあ、まぁ……」

「でも、それは遥か昔のことだ。
一定の数になってからは、人間の血が混じることはなかった。
伝承によれば、人間が連れて来られたのは、竜神族最後の男が連れて来た数人が最初で最後だということだからな。
つまり、俺にだって人間の血は混じってるわけだが、それはごく薄いものだな。」

「でも、僕は……」

僕が話し掛けると、桂葛さんは僕の顔をじっとみつめて深く頷いた。



「俺も正直おまえのことはよくわからない。」

「……わからない?」

桂葛さんは頷いた。



「おまえのような者がここに来たのは初めてのことだからな。
おまえのことを主様から聞いた時は正直驚いた。
里の者にも、遠くの里から治療のために移って来た者だと言ってある。」

「治療って…何の治療ですか?

「竜の力を失ったためだと言ってある。」

「そ、そうなんですか。」

その話に僕はさらに大きな衝撃を受けた。
僕はここでも特別な存在…なんだって。



「翔…おまえはこれから五年間、ここで暮らすんだ。」

「えっ!?五年間…ですか?
それじゃあ、その後はまた人間の世界に戻れるんですか!?」

「……それはまだわからない。
ただ、少なくとも五年はここで暮らさねばならん。」

「そ、そうなんですか……」

今日は驚くことばかりだ。
僕はなんとなくもう元の世界には戻れないんじゃないかって思ってた。
なのに、今の桂葛さんの話しぶりではそうでもなさそうだ。
もしかしたら、この五年の間の暮らしぶりによって評価されるのかもしれない。
そうだ…きっとそうだ。



(頑張れば、元の世界に戻れるかもしれない!)



そう思うと、僕の中にやる気がみなぎった。


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