ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
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「あの…桂葛さん……少しお聞きして良いですか?」

「ああ、良いぞ。
何だ?何が知りたい?」

「えっと……」

聞きたいことは山ほどあった。
なんせ僕はまだ竜神族のことはほとんど何も知らないんだから。
でも、なにから訊けば良いんだろう?



「……どうした?」

「あ、あの……じ、実は……」

僕は両親から聞いたあの話を話した。
生まれた子供が死産で、母さんがその子の後を追おうと樹海の中に入って行ったっていうあの話だ。



「それは本当のことなんでしょうか?」

「そりゃあそうだろうな。」

「二人とも幻覚を見てたとか、そんなんじゃ……」

僕がそう言うと、桂葛さんはくすくすと笑った。



「おかしなことを考えるんだな。
それが幻覚だったら、子供は生き返らなかっただろうし、なによりもおまえが今ここにいるはずはないだろう。」

「あ……そ…そうですよね。
で、でも、なぜそんなことが?」

「それはわからない。」

「え……?」

それは意外な答えだった。
桂葛さんは何にでも答えてくれるものだと思ってたから。



「えっと……わからないっていうのは?」

「そうされたのは竜神様のお考えがあってのことだからな。
竜神様のお心の中までは、俺にはわからない。」

「あぁ……」

なるほど、そういうことか。



「桂葛さん、竜神様っていうのは主様とはまた別の竜?」

「そうだ。
簡単にいえば、この世の神が竜神様だ。
主様はこの世界をとりまとめる存在のお方だ。」

「そうなんですか……」

「……おまえはこの世界についても何も知らないようだから少し話しておこう。
そうだな、まずは簡単にこの世界のことを話そう。
それはもう遥か古のことなのだが、権力争いから、竜神族は日々戦に明け暮れた。
そして、そのことからついに竜神族が絶滅しかけたことがあったそうだ。
最期の一人になってしまった男は、ようやくその過ちに気が付いた。
しかし、悔やんでももう遅い。
竜神族が絶滅するのはもはや時間の問題となっていたのだ。
なんせ、一人では子孫を増やすことは出来なかったのだからな。
そこで、その男は考えたあげく、人間に姿を変え、人間の里へ向かった。
そこで何人かの男女を竜神の村へ連れ帰り、そこから竜神族たちはまた人数を増やしていったということだ。」

「そ、それじゃあ、竜神族というのは人と竜のハーフみたいなものなんですか?」

「ハーフ?両方が混じった者だと言う意味か?
それならそうだ。
主様以外は、皆、人間の血が混じった者だとされている。」



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