ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ







僕の両親はどちらかというとおしゃべりで、明るいタイプだ。
だから、居間ではいつも二人のくだらないおしゃべりと笑い声が溢れててうるさいくらいだ。
なのに、今日はまるで違う。
まるで、お通夜かなにかみたいに僕らは黙り込んで……



「父さん……
話しにくいかもしれないけど、いつまでもこうしていても仕方ないじゃない。
話してよ。」

「……あぁ、わかってる……」



母さんはハンカチで目元を押さえてる。
確かに母さんは泣き虫だけど…韓流ドラマなんか見ては良く泣いてるけど、でも、今の涙はそれとは違う涙だ。



「翔……実はな……」

「私が話すわ。」

ようやく父さんが話し始めた時、横から母さんが口をはさんだ。
目に溜まった涙をもう一度ふき取り、母さんは話し始めた。



「15年前の今日…私達の間には男の子が生まれたの。
結婚してから10年目のことだった。
私達はうまくはいってたけど、子供はなかなか授からなくてね。
半ば、諦めてたところに、突然出来たものだから、私達はもう嬉しくてたまらなくてね……」

父さんは、母さんの話に小さく頷く。



「だけど……」

そう言うと、母さんは声を詰まらせ、またぽろぽろと涙を流し始め、父さんは母さんの背中にそっと腕を回した。



「残念なことに、生まれた子供は死産だった。
とても可愛らしい男の子だったよ。」

すすり泣く母さんの代わりに、父さんがそう話した。



「え……そ、それじゃあ……」

二人の言おうとすることを僕は悟った。
子供が死産だったってことは…
二人の話してる子供が僕であるはずがない。
そうか…子供が死んだから、僕はどこかからもらわれて来たんだ…



つまり、僕は両親と血がつながっていないってこと…?



そう考えると、胸に小さな痛みを感じた。

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