ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ







「翔!次はあれに乗ろう!」

「翔!こっち向いて!」



僕達は、近くのテーマパークに繰り出した。
学校を休んでテーマパークだなんて、嬉しいような後ろめたいようなおかしな気分だ。
父さんと母さんの盛り上がりようはどこか不自然な程で…
まさか、うちにはものすごい借金があって、どうしようもなくなって、それで一家心中を企ててるんじゃ…
そんなことまで考えてしまうほど、二人はおかしなテンションだったんだ。



「おぉ〜!なんて良いにおいなんだ!」

夜には高級な鉄板焼きの店に行き、父さんは最高級のステーキを注文した。
やっぱりおかしい。
いくら誕生日だからって、こんなに贅沢するなんて……



「翔…お誕生日おめでとう。」

父さんがそう言うと、母さんは涙をぽろぽろとこぼした。



「か、母さん…何、泣いてるんだ!」

「だ、だって……」

今度は父さんまでもが目を真っ赤にして……



「どうしたの?
なんか二人ともおかしいよ。
なにかあったの?」

二人は俯き、首を振る。



でも、どう考えてもおかしい。
いつもとは明らかに違うんだから…



「ねぇ、隠し事はやめて。
何かあるなら、僕にも話してよ。」

「翔…とにかく食べよう…
詳しい話は家に戻ってからだ。」

「え……」



やっぱりだ。
やっぱり、なにかあったんだ。
何だろう?
何があったんだろう?
滅多に食べられない高級な肉の味も、僕には全くわからなかった。


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