ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ



(あれ?)



いつものように階段を駆け下り、キッチンに行くと、そこにはいつものように父さんと母さんがいて……
でも、なんだか少し様子がおかしかった。
二人とも妙に浮かない顔をしている。
考えてみれば、いつもならこの時間には母さんが下から大きな声をかけて僕を起こすのに、今日はそれもなかった。



「おはよう。」

「翔…おはよう。」

かける言葉は同じだけど、やっぱりどこかおかしい。
なんで二人ともこんなに元気がないんだろう?
二人の様子を怪訝に感じつつも、僕は、いつもの席に着く。



「えっと…どうかし…」
「今日は遊びに行こう。」



「えっ!?」

僕が口を開いたのと同時に、父さんが何か言った。
確か遊びに行こうとかなんとか…?



「今日はおまえの誕生日じゃないか。
そう遠くへは無理だけど、どこかに遊びに行って三人でぱーっと遊ぼう!」

「え…?父さん、何言ってんの?
今日は水曜だよ。
休みじゃないんだよ。
仕事はどうすんのさ。」

「そんなものは構わない。
父さんも会社は休むから、おまえも休め。
母さん、学校に連絡を頼む。」

「はいはい。」

母さんは立ち上がり、早速電話を手に取った。
そして、僕が風邪で熱を出したから休むって、そんな嘘を吐いて……



なにか信じられない想いだった。
父さんも母さんも、普通よりも真面目な性格で、間違ってもずる休みなんかさせてくれるタイプじゃなかった。
なのに、誕生日だってことだけでどうして……



僕はなんとも言い難い、薄気味の悪さを感じていた。


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